
誰かの善意に頼らない
直美は家から派出看護の会の事務所へ。隣だから便利そうだ。しのぶ(木越明)にお給金を恭しく渡すが、しのぶは受け取らない。
「一日で断られたのに、お給金出してたらお金がどんどん減っていくわ」と遠慮する。自分の失態を反省しているのだろう。かなりやっちまった感があったから。
「でも、払わないわけには…。誰かの善意に頼っていたら、チャリティになってしまう。私は派出看護をちゃんとした職業にしたいの」と直美。
善意に甘えない直美の姿勢がすばらしい。お金を払うべき場面でどう振る舞うかを見ると、その人の本質がよくわかる。親しき仲にも礼儀あり。善意に甘えてばかりいると信用を失うおそれがある。やっぱり稼働した分は支払いを発生させるべきなのだ。
だったらお金持ちの患者さんも診ないと収入は増えない。貧しい人を安価で診ていたら、それこそチャリティになる。
だが考えてみれば、家の中に他人を入れるのは心配なことだ。だから富裕層は女中すら信用の置ける人しか雇用しない(たぶん、紹介を大事にしているのではないだろうか)。素性のわからない人の訪問看護など、なかなか受ける気はしないだろう。第一、富裕層はいい病院で、個室で本格治療ができるのだから。
「うーん。一度、ここはお休みにする?」としのぶ。はじめたばかりで早すぎる。
「やっぱりりんさんがいてくれたら。りんさんなら患者さんと近くて…」としのぶは続ける。
「心に触れる看護ができる」思わず直美もつぶやく。
「こうなったら戻ってきてって言いに行くしかないわ」としのぶ。
派出看護の最初でいきなり契約解除→お休みを提案→りんに戻ってきてもらうべきと提案。しのぶはすべてにおいて早すぎる。
直美はりんに「看護婦をやめろ」と言った手前、戻って手伝ってほしいとは言いにくい。
「会って話してみなきゃわからない。りんさんだって会いに行ったらきっと喜ぶわ」
しのぶに励まされ、直美はりんに手紙を書く。







