結果にとらわれすぎると
問題の本質を見失う
黒澤「なるほど、極めてロジカルです。ですが、クリティカルシンキングを持ち込むのであれば、そもそも解決すべき問題はリピート率の回復なのか、と考えます」
和泉「え?」
黒澤「リピート率の低下というのはあくまで結果であり、本質的には逸品工房のブランド力が低下してきているのかもしれません。もし、そうだとするなら、考えなければならないのは、逸品工房というブランド力についてのはずです」
上田「単にリピート率という数字の低下が問題ではないってことですね」
黒澤が事例として話した内容は、ヒカリがマーケティング部の時代にも何度か遭遇したことのあるミスでした。単なる数字の低下が問題ならば、その数字自体を高める施策が正解ということになります。しかし、無理やりその数字を高める施策をしたところ、すぐにまた低下してしまったのです。ヒカリはあらためて「問題が正しいかどうか」という概念を理解しました。
和泉「では、もし問題の設定は正しいと判断した場合は、最終的な答えが本当にそれでいいのかを疑うんですね」
黒澤「そうです。さきほどラテラルシンキング(編集部注/新しい視点を加えて自由な発想をすること)の話にもありましたが、ビジネスの世界において問題に対する答えは1つとは限りませんので」
上田「なんかプロポーズされた相手に返事をする直前に、“本当にこの人でいいのかな?”って自問自答するのに似ているね」
和泉「えっと……言いたいことはなんとなくわかりますが、もうちょっとほかのたとえはありませんか?」
ヒカリはホワイトボードに書かれた「慎重」という文字を見て妙に納得していました。
黒澤「上田さんのおっしゃった自問自答するという行為。実はとても大切なことではないでしょうか」
上田「ほら、やっぱり!」
和泉「黒澤さんは普段からどんな自問自答をされているんですか?」
すると黒澤はマーカーを手にし、ホワイトボードに美しい文字を書き込んでいきます。
(1)本当に解くべき問題はそれでいいのか?
(2)本当に答えはそれでいいのか?(考え方が適切か?十分か?)
(3)自分に無意識レベルのバイアスがないか?
(4)実は自分にとって「好ましい答え」がないか?
黒澤「私としては、この4つを基本としている認識です」







