家賃高騰で都心撤退の危機
値上げの成否を握る「客数」
さらにこれから厳しくなっていくのが家賃です。契約更新のたびに、世の中並みの家賃条件がつきつけられるでしょう。その場合、閉店して新店を出すという対策はありえます。実際、私の近所でもいわゆる都心店として賑わっていた店舗が閉鎖されました。東京の都心部では、今後もサイゼリヤの店舗は姿を消していくかもしれません。
そうやってコスト増を吸収するためのぎりぎりの値上げなのですが、客数と客単価にはどう影響するのでしょうか?
サイゼリヤの場合、客単価は値上げ分プラスαしか上がらないでしょう。メニュー構成の変更などで客単価増を当然狙ってきてはいるのですが、この一年で見れば国内の客単価上昇は2%程度です。結局のところ値上げ戦略の成否を握るのは客数の変動です。
その客数ですが値上げが実施される可能性がある来年以降、外食産業全体で客数は大きく減少します。食品の消費税率が1%になることで、消費税率10%の外食が大きな打撃を受けるのです。
もうひとつサイゼリヤにとってのプラス材料を上げると、外食産業全体が打撃を受ける中で、庶民は比較的値上げ幅が小さいサイゼリヤを好んで選択する可能性は十分にあります。
選ばれるという視点でみると、サイゼリヤのメニュー単価について「アフォーダブルな価格」であることが今後、今まで以上に重要な意味を持ってくるでしょう。消費者にとって「アフォーダブルな価格とは何か?」を突き詰めてきたのがサイゼリヤの価格設定の歴史です。
なぜミラノ風ドリアが税込300円なのかというと、当時、庶民が電車で読んで網棚に捨てていく雑誌の価格がそれぐらいだったからです。その視点をずっと貫いてきたサイゼリヤは今でも、「令和の現在、庶民が使い捨てにしているものって何?」という調査をしっかりとしているはずです。
すると、たとえばダイソーに行くと、110円の商品以外に、330円の商品が増えていることに気づかされます。百均では商品構成が成り立たなくなった今でも、消費者は330円までなら使い捨て商品と認識して買っていくのです。
つまり「アフォーダブル」という定義をつきつめたうえで、その範囲内での値上げなら、庶民はついてきてくれる。これが楽観的に考えた場合の未来です。







