【視点】
過去1年半の経営環境の変化

 私は昨年1月に、サイゼリヤが決算発表直後に株価を大きく下げたタイミングで記事を書きました。決算としては前年比マイナス1.7%とわずかながらに減益でしたが、予算比でみると大きく目標を外したタイミングでした。

 その原因は中国経済の失速で、サイゼリヤも中国での営業利益を大きく落としてしまったのです。当時のサイゼリヤの事業ポートフォリオはややいびつでした。全社の売り上げの3分の1程度のアジアセグメント(中国を含む)が、営業利益の8割以上を稼いでいたのです。一方で、国内ではあれだけ顧客に支持されていたにもかかわらず、売上高営業利益率はわずか1%に過ぎなかったのです。

 実はそこからの1年半で、サイゼリヤの事業収益構造は大きく変化しました。国内のサイゼリヤは前年比2割前後で高成長。売上高営業利益率も4%と収益性が大きく変化しました。

 一方でアジア(中国)は、成長率は13%と依然成長は続けつつも、営業利益率はかつての約15%から現在では約10%と翳りを見せています。

 結果としてサイゼリヤの全社収益構造は一年半前の「アジア一本足打法」から、過去半年では「日本とアジアがちょうど半々の利益を稼ぐ」構造へと変わったのです。

 日本国内のサイゼリヤがかなり儲かるようになってきた。これがサイゼリヤの現在地なのです。それなのになぜ値上げなのか?それを理解するために国内の業績回復の構造を分析してみましょう。

【視点2】
国内サイゼリヤの業績回復の構造

 先述したようにサイゼリヤは日本国内が増収増益、一方で中国を主力とするアジアでは増収減益の傾向が続いています。

 どこに違いがあるのかというと、日本セグメントの売上増はその大半が既存店の売上増に支えられている一方で、アジアセグメントの売上増は新店の増加に支えられていて、既存店はマイナス傾向という構造にあります。

 アジアでもとりわけ厳しいのが中国本土で、そこでは客離れが起きています。これはサイゼリヤというより中国経済全体に起きている外食離れ現象で、その意味で仕方のないことかもしれません。