サイゼリヤを脅かす真の敵
スーパー惣菜に奪われる胃袋
では死角はないのでしょうか?じつは先述した「客離れ」に苦しむ「かつや」について、私はある仮説を持っています。
それは、苦戦するかつやの競合がスーパー大手のトライアルなのではないかという仮説です。トライアルは昨年、西友を買収して首都圏にも進出を始めました。その最大の武器として活用されているのが、税込299円で販売されているかつ丼弁当です。
まだご存じのない読者の方は一度、西友ないしはトライアルで買って食べてみてください。すぐわかるのは、すごくおいしいことです。
それで疑問が浮かぶかもしれません。なぜこれだけおいしいかつ丼が299円なの?と。
おそらくこのかつ丼は、トライアルが店頭に消費者を呼び込むツールなのです。コストコがホットドックをドリンク付きで180円で販売するのと同じ戦略です。仮に商品単体では赤字になったとしても、集客増につながるのであればスーパーマーケットの販売促進費としては成立します。
しかし消費者の胃袋はひとつです。日々の生活費をやりくりしながら西友のかつ丼を食べた人は、その週はもうかつやに行くことはしないでしょう。なまじ看板メニューが被っていることで、西友の集客戦略はかつやにマイナス影響を与えるのです。
そして来年4月からは西友のかつ丼弁当の消費税は1%になります。税込み280円です。かつやはさらなる打撃を受けるでしょうけれども、サイゼリヤの場合はどうなのでしょうか?
気を付けるべきは、コンビニやスーパーで消費税1%で販売されることになるパスタ弁当やドリアといったメニューです。さいわいにしていままでのところ、そういった総菜がサイゼリヤの経営をゆるがすシーンはなかったのでしょう。
しかし来年以降、「消費税1%なのだから家で集まろうよ。スーパーで缶ビールとパスタ弁当を買って、ピザはドミノピザに配達してもらって、納税額1%のほうが賢い生活者だよね」というライフスタイルシフトは起きないとはいえません。
こうして考えると、サイゼリヤが値上げを検討し始めたタイミングは、いろいろとやっかいなタイミングだったと言えるかもしれませんね。








