人間にとっての笑顔は
コミュニケーションの道具

 人間にとっての笑顔は、本人の感情というよりは、社交的な機能を果たしています。

 つまり、本人が心から「嬉しい」と感じるから笑うのではなく、一緒にいる人に自分が嬉しがっているところをわかってもらうために笑うのです。

 コーネル大学のロバート・クラウトは、グループでボーリングをしている人たちの投球を2000投以上も観察してみました。

 すると、ストライクをとるとか、スペアをとるとか、スプリットをとるといった良い投球ができた直後に笑顔を見せる人は、わずか4%にすぎないことがわかりました。素晴らしい投球ができたのですから、飛び上がって喜んでも良さそうなのに、たいていの人はそういうことをしないのです。

 良い投球ができた人が笑うのは、振り向いて仲間の顔を見たとき。仲間の顔を見て、初めて満面の笑みを浮かべる人のほうが圧倒的に多く、こちらは42%もいました。

 この研究でわかるように、笑顔は、本人の感情と結びついているというより、社交的な目的で使われることのほうが圧倒的に多いのです。

女性が頻繁に笑顔を見せても
ただの「愛想笑い」かもしれない

 笑顔には社交的な機能がありますので、もし仮に自分がつまらないダジャレや冗談を言ったとき、「アハハハハ」と同席する人たちに笑ってもらえたとしても、それは自分の冗談が面白かったという証拠にはなりません。

 私たちは、相手の気分を害さないために笑顔を見せることもあります。

 本当はちっとも面白くないときでも、あえて笑うことがあります。愛想笑い、媚び笑い、作り笑い、などと呼ばれているものです。

『10秒で本音を見抜く心理術』書影10秒で本音を見抜く心理術』(著者名、PHP研究所)

 職場の雰囲気をなごませようとして、年配のオジサンがギャグやダジャレを言うと、職場の人は笑ってくれるかもしれませんが、決して自分が面白いわけではない、ということは知っておきましょう。

 おかしな勘違いをしてオヤジギャグを連発していると、周囲の人たちを困らせてしまいます。本当は面白くもなんともないのに、お追従でしかたなく笑っているだけの可能性のほうが高いので、気をつけなければなりません。

 ちなみに女性は男性よりも社交性が高いので、笑顔を見せる頻度も男性より高い傾向があります。

 したがって、女性が頻繁に笑顔を見せてくれたとしても、本当に楽しくて笑っているというより、場の空気を悪くしないために笑ってあげている、ということのほうが多いことも知っておくべきです。