一般に大企業は自社グループや企業単一で独自の健保組合を設立しており、同業種企業が共同で設立している場合もある。2025年4月1日現在では、日本全国で1372組合が存在している(健康保険組合連合会「健保ニュース」2025年5月合併号)。

 一方、中小企業従業員とその家族が加入する健康保険が、協会けんぽだ。また、公務員や学校職員にはそれぞれの共済組合があり、これらを総称して被用者保険という。

加入する保険で異なる保険料率を
多くの人が知らない

 一方、企業に属さない自営業者などは、都道府県及び市町村が保険者となる国民健康保険に加入している。また、75歳になると、それまで被用者保険と国保に加入していた全員が後期高齢者医療制度に編入される。

 これら各保険の加入者は、自分と関係ない保険がどのような仕組みでどれくらいの料率なのか、といった細かい事情は理解していないことが一般的だろう。自分に関係ない健康保険の煩雑な仕組みなど、そもそも理解する必要がないのだから。このように、現役世代の人々が加入保険ごとに「分断」されているために、負担に格差がある現実が認識されていない、と高久教授は指摘する。

「皆が負担を感じているから全体的に減らそう、という話になりがちですが、現役世代の加入保険では比較的料率が低い健保組合をもう少し上げる方向で是正したり、一方で協会けんぽの保険料率はもう少し下げる、といった調整の余地はかなりあるでしょう。

 ただし、大企業の健保組合は保険料率を公表していない場合が非常に多いので、それを知るためには情報公開請求が必要になります(各健保組合の料率は、ファイナンシャルプランナー・社会保険労務士の高橋義憲氏が情報公開請求で明らかにしてランキングを公開。同氏は、健保組合の保険料率を時系列で見られるアプリも作成している[注2])。

 負担の話に皆が関心を持っているにもかかわらず、適正な議論がなされないのは、このような情報のなさがひとつの要因になっているのではないかと思います。

 国保の場合はさらに料率が高くなります。ウェブサイトで保険料を試算できる自治体もあるので試みに計算してみたことがあるのですが、夫と妻がともに年収100万円で子どもがひとりという低所得の世帯を考えると、保険料はおおむね年間36万円で、夫婦それぞれの保険料率に直すと18パーセントに上ります。協会けんぽの場合は、10パーセントの料率を労使で折半するので、被保険者の自己負担は5パーセントです。

 それと比べると、この国保の料率はほとんど払えるような金額ではない。もちろん減免措置がある場合もあるのですが、所得の低い方たちが多い保険で負担感が非常に重い制度設計になっていることが、負担を受けいれられない、と多くの人が考える遠因になっているように思います」

[注2](高橋義憲氏の高ははしごだか)
「健康保険組合の保険料率ランキング」2023年11月18日
https://note.com/takahay/n/nc5c9d326eea2
アプリ「健康保険組合の保険料率推移」2025年11月7日
https://hytrx.pythonanywhere.com/