【プロフェッショナルレポート】2兆円超の含み損を抱えるソニー生命をどう見るべきか?

近年の長期金利の上昇に伴い、生命保険会社が保有する国債に多額の含み損が生じている。「これまでの超長期債への投資が裏目に出た」「(国内債券だけではなく)株式を持っていればよかった」と言わんばかりの論調もみられるが、果たしてそれは正しい指摘なのか。そこで連載『ダイヤモンド保険ラボ』の本稿では、2025年度の決算データを活用し、こうした論調は経営情報の一部だけを取り上げた「誤解」であって、経済価値ベースの評価を通じて生命保険会社の経営実態をより的確に把握すべきであることをお伝えする。(福岡大学教授 植村信保)

資産サイドの「含み損益」は
健全性指標の役割を終えている

 長期金利の上昇に直面する生命保険業界において、ことさらにクローズアップされるのが、生保各社の資産サイドにおける「国債の巨額な含み損」の動向だ。事実、数兆円規模の含み損を抱える生保も複数あることから、経営の健全性を危ぶむ声もある。だが、こうした表面的な数字だけを見て一喜一憂することは、生保経営の本質を見誤るリスクを孕んでいる。

 下図は、資産規模の大きい主要な生保会社における2025年度末の国内株式、国内公社債および外国証券の含み損益を示したものである(実額ではなく、一般勘定資産との対比)。日本生命保険など歴史の長い会社では、国内公社債の含み損と国内株式の含み益が打ち消し合う形となっているのに対し、一般勘定で国内株式をほぼ保有していないソニー生命保険では、国内公社債の含み損の巨額さが際立っている。

 一見すると危機的にも思えるソニー生命の財務状況だが、その実態はどうなのか。次ページでは、新たな健全性規制ESR(経済価値ベースのソルベンシー比率)の核心である経済価値ベースで見た場合の財務の健全性について解き明かしていく。