(3)自己負担限度額の引き上げが加入先による給付格差を助長する
75歳未満の人が加入する公的医療保険は、主に職業によって分類されており、会社員や公務員などの賃金労働者は職域保険、自営業者や無職の人などは地域保険に加入する。いずれも国の法律の下で運営されているが、給付内容は加入先によって異なり、付加給付の有無によって高額療養費の自己負担額には格差が生まれている。
付加給付は、国が定めた法定給付に加えて、各健康保険組合が独自の保障を上乗せするものだ。付加給付があるのは大手企業などが運営する組合管掌健康保険や、公務員や私立学校職員が加入する共済組合だ。中小零細企業の従業員が加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)や、自営業者などが加入する国民健康保険には付加給付はない。
例えば、年収1500万円の人の高額療養費の自己負担限度額は、法定給付では【27万300円+(医療費-90万1000円)×1%】。医療費が100万円だった場合、27万1290円が自己負担額だ(26年8月現在)。
ところが、大手企業の健保組合の中には、所得に関係なく高額療養費の自己負担限度額が一律2万円になるなど、充実した付加給付を行っているところがある。
そのため、同じ年収1500万円でも、協会けんぽの加入者は約27万円を支払わなければならないのに、付加給付のある健保組合の自己負担は2万円で済むという不公平が生じている。
さらに言えば、医療費が同じ100万円でも、協会けんぽの加入者は年収200万円でも6万1500円を自己負担しなければならないのに、付加給付のある健保組合の加入者は年収2000万円でも自己負担額は2万円。低所得者の方が、高所得者よりも自己負担が高くなるという逆転現象も起こっている。







