着工時3.7が事後評価で0.5に
北海道新幹線で起きた誤算
過去の整備新幹線もB/Cで苦労してきた。例えば、北海道新幹線新青森~新函館間は着工した2005年当時、費用3470億円、便益1兆2970億円でB/C=3.7とされていた。ところが2011年の事業再評価で費用は5950億円、便益は6694億円となりB/C=1.1に低下した。
さらに、2021年に公表された事後評価では、費用は1兆57億円、便益は4925億円となり、B/Cはついに0.5となってしまった。なお、事後評価は2019年度までの実績値を対象に分析しているため、コロナ禍の影響は反映されていない。
最大の要因は利用者数の見積もりが当初の半分近くにとどまったことだ。1985年から1999年の変化は予測困難だったかもしれないが、2005年から2019年に前提条件の大きな変化はなかった。こうなってはB/Cそのものの信頼が揺らぐ。
結果論なので「粉飾」だったとは言わないが、「0.5」が「3.7」に化けるような評価をしなければならなかったのは、整備新幹線において投資効果の評価は着工区間単体で行うルールだからだ。新青森~新函館北斗は新函館北斗~札幌間の先行投資とはみなされず、単独で事業が成立するかを判定する。そのために基準の範囲内で費用を最小限、便益を最大限計上したのだろう(同区間は「着工5条件」に整理される以前に着工したが、投資効果の基準は既に存在した)。
B/Cの苦労は、5月12日に開催された福井県国会議員・県議会議員の決起大会で、国交省の五十嵐徹人鉄道局長が「国土交通省から1ブロック離れた財務省とかの役人に、だまされるようにB/Cとうなされるように言う人がいるが、B/Cも役人としては関係ないとは言えず非常に重要だが、B/Cだけで決まるなら政治はいらない」と発言したことからも見えてくる。
ただし、本音であってもあまりに軽率な発言であり、B/Cに優れる米原ルートを推していた維新は激怒。鉄道局長は謝罪に追い込まれた。この一件は、B/Cという指標だけでは語れない政治判断の"本音と建前"をうかがわせる。







