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自由民主党、日本維新の会は7月15日の与党整備委員会会合で、北陸新幹線の敦賀~新大阪間の延伸ルートを「小浜・京都ルート桂川案」に決定した。しかし、地下水や建設発生土、交通渋滞、財政負担などへの懸念から、京都府・京都市の反発は根強い。仮に地元の理解が得られたとしても着工には高いハードルがあり、与党が目指す「2027年度着工」は不可能と言ってよい情勢だ。前回記事では着工5条件のうち「(1)安定的な財源見通しの確保」「(2)収支採算性」「(4)営業主体であるJRの同意」を取り上げた。今回は「(3)投資効果」について考えてみたい。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)
敦賀~新大阪間の着工における
最大の障壁である「B/C」とは
投資効果は事業に投じられる費用(Cost)と便益(Benefit)の比率(費用便益比)で判定する。これを「B/C」と呼ぶ。鉄道の整備と供用期間は長期にわたるため、B/Cは建設期間と開業後50年間を対象に算出する。将来発生する費用と便益は社会的割引率を用いて現在価値化するが、込み入った話になるので今回は省略する。
費用便益比の仕組み(筆者作成) 拡大画像表示
費用のほとんどを占めるのは建設費と開業後の施設・車両の維持改良費だ。便益は利用者の所要時間短縮・利便性向上効果の貨幣換算と、運賃・料金の増減を反映した「利用者便益」、鉄道事業者の増益を反映した「供給者便益」の合計だ。CO2排出量や交通事故の削減効果を示す「環境改善便益」もあるが、整備新幹線においては無視してよい規模だ。
1000億円の費用で2000億円の便益が得られたらB/Cは2、1000億円の費用で500億円の便益しか得られなかったらB/Cは0.5だ。投資に見合った便益が得られない事業に税金を投じるべきではない。つまり、B/Cが1を下回る事業は着手が認められない。
今回、決定した「小浜・京都ルート桂川案」は、国土交通省の最新試算で工期26年、建設費は3.9兆~5.5兆円となった。2016年の試算は建設費2.1兆円でB/C=1.1としていたので、費用の大半を占める建設費が倍増したことでB/Cは0.5程度まで減少する可能性がでてきた。
0.5を1にするには、便益を倍にするしかない。そんなことができたら初めから苦労しない。そのため敦賀~新大阪間の着工はB/Cが最大の障壁になると考えられてきた。







