睡眠とメンタルの深い関係
私たち精神科医が患者さんを診察する際、毎回必ず確認するのが「睡眠」と「食欲」です。その中でも特に睡眠は重要です。
急に睡眠時間が減ったり、慢性的な不眠が続いたりする場合、何らかの疾患のリスクが高まっているサインかもしれません。逆に、病気が原因で不眠や過眠になることもあり、睡眠は心身の不調が一番最初に現れやすいバロメーターなのです。
私自身もあまり寝付きがよいほうではないのですが、不眠が続くとパフォーマンスが著しく落ち、イライラしやすくなり、嫌なことばかり気になってしまいます。「今日も眠れないのではないか」とざわつき、悪循環に陥るとメンタルの調子が悪くなるのを身をもって実感しています。
だからこそ、「自分に合った睡眠時間」を大きく変えないことが何より大切です。
●朝起きたらしっかりと日光を浴びる
●昼寝は午後3時までとし、10~15分程度の仮眠にとどめる
睡眠薬を頼る前に、まずはこうした基本的な「睡眠衛生」を整えることが重要です。
【おまけ】あえて睡眠時間を「遅らせる」ケース
最後に少し例外的なお話をします(※これは医師の診断のもとで行うべきものであり、自己判断では行わないでください)。
睡眠へのこだわりが強くなりすぎた結果、「今日も眠れるだろうか」「睡眠時間を確保しなければ」と焦り、どんどん布団に入る時間を早めてしまう人がいます。
人間には一番眠りに入りやすい「ゴールデンタイム」があるのですが、それより早すぎる時間に布団に入ってしまうと、かえって覚醒度が高く寝付けないことがあります。布団の中で「眠れない」と悩む時間が長くなると、睡眠が浅くなり、夜中に何度も目が覚めるなど悪循環に陥ってしまいます。
そのような場合、医師の指導のもとで「あえて布団に入る時間を30分~1時間遅くする」よう指示することがあります。就寝時間を遅らせることで、かえって寝付きがよくなり、睡眠の質が深くなるため、結果的に「よく眠れた」という実感を得やすくなるのです。
まとめ:自分の適切な睡眠時間を守りましょう
睡眠時間の微調整で質を改善することはあっても、普通の睡眠が必要な人が、訓練によって2~3時間睡眠で済むようになることはまずありません。
短い睡眠でより多くの時間を使えたら……と憧れる気持ちはわかります。しかし、無理な睡眠制限は心身へのダメージがあまりにも大きすぎます。自分の適切な睡眠時間をしっかりと把握し、その範囲内で健康的な生活を送るようにしてください。




