タムロン買収提案が
意外なところに効いてくる
だからこそ、ソニーによるタムロンへの買収提案がキヤノンに与える影響を、レンズだけで考えてはいけない。仮にタムロンとの連携強化によってソニーのレンズラインアップが充実し、αの魅力が高まり、キヤノンとのシェア差が縮小するとする。すると、キヤノンには二つの影響が出る。第一に、当然ながらカメラの販売台数が減る。第二に、それによってCMOSの生産数量も減り、自社生産しているセンサーの一個当たり固定費負担が増える。つまり、完成品市場でソニーが強くなることが、部品であるCMOSのコスト競争力にも跳ね返ってくるのである。
逆にソニーは、αのシェアが上がればカメラ事業の利益が増えるが、イメージセンサー事業はそもそもスマートフォンなどの巨大市場を基盤としている。この非対称性は、キヤノンのシェアが高いうちは表面化しにくい。しかし、両社のシェア差が小さくなるほど、無視できない問題になるだろう。
世界最大級のソニーですら
TSMCと組む
さらに興味深い動きがある。ソニーセミコンダクタソリューションズは2026年5月、TSMCと次世代イメージセンサーの開発・製造について戦略提携を検討するMOU(基本合意書)を締結した。両社の公式発表で特に興味深いのは、ソニーの「センサー設計の専門性」と、TSMCの「プロセス技術・製造力」を組み合わせると明記している点である。
らに8月には、両社が約1兆円を投じ、ソニー60%、TSMC40%の合弁で熊本県に次世代イメージセンサーの生産拠点を構築する方向だとの報道も出た。これは記事執筆時点では正式な最終合意ではないが、世界最大級のイメージセンサーメーカーであるソニーですら、製造についてTSMCの力を取り込もうとしていることは示唆的である。
ここからキヤノンに対する一つの問いが生まれる。
「CMOSを自社開発すること」と「CMOSを自社工場で生産すること」は、本当にセットでなければならないのだろうか。
「キヤノン設計、Tower生産」
という選択肢
キヤノンが自社でCMOSを開発することには、今後も大きな意味があるだろう。だからといって、ソニーなどから完成品のセンサーを買えばいいという話ではない。それではキヤノン独自のセンサー技術を使った差別化が難しくなる。
しかし、もう一つの選択肢がある。キヤノンがセンサーを設計し、製造だけを半導体ファウンドリに委託する方法である。その候補として意外にキヤノンと相性が良さそうなのが、Tower Semiconductor(タワーセミコンダクター)である。







