ナフサ、消費税、皇位継承…側近不在で見えてきた「高市首相の万能感」の大きな落とし穴閣議に臨む首相の高市早苗。側近の不在が政権運営に与える影響は計り知れない Photo:JIJI

 明らかに首相、高市早苗の行動変容が始まった。新聞各紙が報じる首相動静記事を見れば一目瞭然だ。大型連休明けから閣僚、官僚以外の自民党の執行部をはじめ幹部らとの懇談が一気に増えたことが分かる。それも食事を取りながらの懇談が目立つ。皮切りは4月10日だった。副総裁の麻生太郎、幹事長の鈴木俊一、幹事長代行の萩生田光一の党執行部の中軸3人。

 そこで供された「焼き魚定食」が話題になった。出所不明ながら「麻生さんは箸を付けなかったそうだ」という話がまことしやかに流れたからだ。以来、高市との会食懇談はメンバーもさることながらメニューも関心事になった。ちなみに麻生ら3人は国対委員長の梶山弘志と共に5月15日にも官邸に呼ばれ、ステーキが出されたという。それ以外の相手には、回ホイ鍋コー肉ロー、ビーフシチュー……。夜の首相公邸での懇談では、「総理は酒をチビチビやっていた」(出席者の一人)という証言もある。

 ただし、いずれのケースも込み入った話題はなく、5月29日の経団連会長、筒井義信との昼食懇談では阪神タイガースの大ファンの高市がプロ野球の話題を持ち出して場を和ませたという。

 高市は昨年10月の首相就任以来、首相官邸に閉じこもりがちだった。その背景には自力で首相の座を引き寄せ、今の「高市1強体制」を築き上げた成功体験があったのは間違いない。日本維新の会との連立政権樹立は高市自身が直接交渉で実現。党執行部に一切の相談なしに断行した衆院解散は自民党を歴史的大勝に導いた。その後も高い内閣支持率を維持する。この積み重ねが高市に圧倒的な求心力を与えた。霞が関の官僚間に皮肉を込めた「首相の万能感」の言葉が広まった。