自分の頭でリスクを引き受けて決断することを避け、周囲の意見をうかがいながら「様子見」に終始する。そんな状態のまま年齢を重ねることが、どれほど個人の成長を止め、仕事をつまらなくさせているかに多くのビジネスパーソンは気づいていません。この連載では、書籍『リーダーの仮面』をベースに、全ビジネスパーソンに必須の「人間の行動原理」と、自分の人生を切り拓く意思決定のあり方について解説する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)
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40代の「安全地帯」に逃げ込む人の共通点
40代になり、ある程度の役職に就いた管理職やベテラン社員の中に、会議や打ち合わせの場で決まってこの言葉を口にする人がいます。
「うん、その案は良いね。ただ、リスクもあるから一度『検討します』」
「保留にして、次の役員会議まで様子を見ましょう」
一見すると、これは慎重で手堅い、大人のビジネスパーソンとしての賢い振る舞いに見えるかもしれません。
しかし、これこそが自分のキャリアを「働かないおじさん」へと転落させる最大の元凶です。
「検討します」という言葉を盾にして、自らの責任で白黒つけることから逃げ続けているうちに、脳は決断することをサボるようになります。
やがて仕事そのものの情熱や面白さを完全に失ってしまうのです。
「検討」という言葉が抱える恥ずべき実態
『パーフェクトな意思決定』という本で私は、日本社会に蔓延するこの「お伺いグセ」について、次のようにバッサリと切り捨てています。
という可能性を本当に検討するのなら、もちろんそれはいいことです。
ただ言葉だけの「検討」があまりにも多いのが、日本社会で起こっていることです。
「検討します」と言っておきながら、実際は何もしていない。
「検討」という言葉は、相手が勝手に諦めるのを待つときに使われてしまっています。
そして、遠回しにお断りをするときに、「検討しておきますね」と、便利に使われてしまっている。
英語の「consider(検討する)」は、本当に慎重に議論することを意味します。
ただ、日本人が「consider」を安易に使うことが多く、アメリカ人は、そのことを不満に思うそうです。
「ノーならノーと言ってほしい」ということです。
そんなズレが生じています。
本当はノーなのに、「検討します」と言って期待させることは、全裸より恥ずかしいことなのです。
――『パーフェクトな意思決定』より
決断を先延ばしにしている状態は、一見、リスクを回避して安全地帯にいるように錯覚します。
しかし、その実は「決めないことによる機会損失」という見えないコストを払い続けているマイナスの状態です。
保留の気持ちよさから脱却せよ
なぜ、人は決断を先延ばしにしてしまうのか。
それは、人間の行動原理として「可能性を抱えた保留の状態」が、脳にとって最も全能感があり気持ちいいからです。
「内定を複数持っている状態」が最も誇らしく感じられるように、決定して選択肢を捨てることには痛みが伴うため、つい「検討」に逃げてしまうのです。
この惰性に打ち勝つために、リーダーは「リーダーの仮面」をかぶり、個人的な感情や失敗への恐怖を脇に置いて、淡々と「決着」をつけなければなりません。
本当に優秀なリーダーは、現場に「お伺い」を立てて好かれようとする素顔を隠し、仮面をかぶって「今回は見送る(ノー)」「A案で進める(イエス)」と即座に言い切ります。
「検討します」という恥ずべき逃げの言葉を捨て、責任を背負って決断を下す背中を見せること。
それこそが、部下を安心して走らせ、何歳になっても働く喜びを感じ続けるための唯一の生き方なのです。




