「長年の慣習だから」「あの先輩を通さないといけないから」という明文化されていない裏ルールが、優秀な新人を潰し、組織の成長を完全に止めてしまいます。人は既得権益を守るためにルールを曖昧にし、言葉の壁を築こうとする弱い行動原理を持っています。この本質を見抜けないリーダーは、組織を腐敗させていく老害を放置することになります。この連載では、書籍『リーダーの仮面』をベースに、全ビジネスパーソンに必須の「リーダーシップ」のあり方を指南する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)
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明文化されていない「悪い権利」
50代になり、長年同じ部署に居続けるベテラン社員。
その中には、会社の公式なルールではない「独自の不文律」を作り出し、それによって自らの立場を誇示しようとする人が現れます。
「新入社員は、先輩より先に帰ってはいけない」
「他部署に相談する前に、まずは俺に話を通すのがマナーだ」
こうした、明文化されていないがなぜか皆が従っている「裏ルール」は、組織にとって最悪の害悪です。
何か問題が起きたときに彼らは一切の責任を取ることができず、「勝手に新人が暴走した」と言い逃れをするだけです。
このような「無責任な権利(悪い権利)」が蔓延する職場では、ルールが曖昧になり、若い優秀な人材から順番に愛想を尽かして辞めていくことになります。
「裏ルール」を今すぐ破壊せよ
『とにかく仕組み化』という本で私は、この既得権益の罠を次のように厳しく暴いています。
「いちばん先輩であるAさんに話を通さないといけない」
「本当はメンバー全員が前もって納得しておかないといけない」
など、明文化されていない裏のルールが、あなたの会社にもあるのではないでしょうか。
権利を持っていないのに、持っているように振る舞う。
――『とにかく仕組み化』より
権利とは、その役割と責任に応じて、明文化された文章として認められている「権限」のことだけを指します。
それを持たない者が「社歴が長い」「最年長だから」というだけの理由で勝手に境界線を引き、自分のプライドを守るために裏ルールでメンバーを縛る。
これは、組織に対する深刻な「越権行為」に他なりません。
リーダーがこれを「優しいおじさん」だからと放置することは、組織の崩壊を許容しているのと同じです。
明文化された「いいルール」に書き換えよう
50代のベテランに求められるのは、独自のノウハウや不文律を誇ることではありません。
自らの責任のもとでそれをすべて「誰でも守れる公式のルール」へと明文化し、自らの既得権益を壊し続けることです。
リーダーは仮面をかぶり、えこひいきや裏の忖度を許さない毅然としたスタンスをとるべきです。
不透明な人間関係を排除し、すべてを「書かれた文章(ルール)」に基づいて運営すること。
その厳格な線引きこそが、不満のないフェアな職場をつくり、部下に本当の安心感と成長の機会を提供するのです。




