
運でも、努力でもない、決定的に必要なもの
「努力したいんです。書く努力はもうこれ以上ないほどしました。あとは、紙面に載せてもらう努力をするしか…」とシマケンは必死で綿貫にすがる。
「努力のしかたがわからないです」と言うシマケン。
りんと思いが通じて、りんと共に生きていきたいと思ったとき、はじめて努力したいと真剣に思うようになったのだろう。
だが、綿貫は「申し訳ない」と頭を下げる。そして、ものすごく残念なことを突きつける。
「今まで、はっきり言わなくて申し訳なかった。運でも、努力でもない。」
シマケンにないものがある。決定的に欠けたものが。それは。
「強さがないんだよ。君の書くものには」
小説以外は書かないっていう君の頑なさは、存外嫌いじゃなかった、と言うが、その頑なさと文章の強さは違うのだ。
「君の文章は純粋で美しい。が、極めてどうしようもなく…強さがない」
悲しい音楽がかかる。
「つまり…僕には…才能がないってことですね」
「うん」とうなづく綿貫。
綿貫さん、決めつけないで――。それに、連載が一時は決定したのだから、そんなごまかしはやめて――。原稿料とかどうするのかちゃんとしてー。
シマケンはそれ以上、粘ることなく、すごすごと帰っていく。
第99回で彼自身が「あれもこれもと望むだけで力がない」と自覚していた。だからそれを他者からも言われて引くしかなかったのかなと想像する。
部屋に戻って、原稿を破る。もったいない。前髪で悲しい顔を隠しているのは、お茶碗で顔を隠した直美と同じ方法論?
2日連続でシマケン・エンドであった。
昨日、あんなに、喜んだのに、あまりに悲しい展開。
仕事をしていくうえで大事なのは、運でも、努力でもない。強さであるという事実。親ガチャじゃないけど、努力で補えない、持って生まれた強さなんてどうにもならないではないか。
いや、断じて反論したい。弱さだって武器だ。大事なのは、その弱さをどう武器にするかではないか。長沢節というイラストレーターに「弱いから、好き。」という名著がある。シマケンに読ませてあげたいが、発売されるのは昭和になってからなのだ。








