日常生活でジョブズになれる
時間軸の4ステップ実践例

・あなたが「部下を鼓舞するリーダー」である場合

(1)現在:今、私たちが取り組んでいるこのプロジェクトは、非常に高い壁に見えるかもしれません。

(2)過去:しかし、思い出してください。私たちはかつてのプロジェクトでこれ以上ないほどの「悔しさ」を味わいました。あの時の失敗が、今の私たちの糧になっています。

(3)現在:だからこそ今、目の前にあるのは、そのリベンジを果たすための「最高のチャンス」です。今の私たちなら、あのときに越えられなかった壁を越えられるはずです。

(4)未来:この壁を越えて、チーム全員でしか見ることのできない、見たこともないほど輝かしい「新しいステージ」へ共に進みましょう。

・あなたが「新規事業を提案する若手社員」である場合

(1)現在:今の私たちのサービスのままでは、解決できていない領域が明確にあります。

(2)過去:私は入社して初めて担当した顧客から受けたお叱りの言葉が忘れられません。それは、長年のヘビーユーザーならではの愛ある指摘でした。

(3)現在:その声を形にしたのがこの新規事業の企画案です。今、私たちがやるべきことは、この課題に向き合うことです。

(4)未来:もしもこの事業が実現すれば、私たちの顧客はもっと増え、より深い信頼関係に基づくファン形成も強化できるでしょう。

・あなたが「地域の問題に向き合うリーダー」である場合

(1)現在:私たちの町は、商店街のシャッターが閉まり、かつての活気が失われつつあります。

(2)過去:しかし、私が子どもの頃、この商店街は人々の笑い声で溢れ、歩くだけでワクワクする場所でした。あの温かな光景こそが、私の原風景です。

(3)現在:だからこそ今、この空き店舗を「多世代が交流する拠点」に再生させ、もう一度あの賑わいを取り戻したいのです。

(4)未来:3年後、この場所が起点となり、若者が誇りを持って戻ってきたり、新しい店が次々と生まれたりする「選ばれる町」にしていきましょう。

 ロジックという「タテのWHY」で信頼できる客観性を固め、ストーリーという「ヨコのWHY」で未来への期待感を高める。

『語りの牙 論理と感情をつなぎ、確実に刺す全技術』書影語りの牙 論理と感情をつなぎ、確実に刺す全技術』(伊藤羊一、朝日新聞出版)

 この2つのWHYがそろったときに初めて、目の前の相手は「だったら、あなたに任せてみたい」「あなたについていきたい」「あなたと一緒にやってみたい」という動機を持つ準備ができます。あなただけの「語りの牙」がいよいよ形を成してきました。

 しかしながら、ここで一つ、あなたに問いかけたいことがあります。

「その牙は、本当にあなたの芯から生まれたものですか?」

 借り物の言葉や、誰かがつくったきれいな物語では、本当の意味で相手の心に深く食い込むことはできません。

 あなたの言葉が真の「牙」となるためには、あなた自身の人生という深淵に潜り、そこから湧き上がるあなただけの「確信」をつかみとり、言葉に乗せていく必要があります。

 そのための「あなたの譲れない想いの探求」へと、歩みを進めましょう。