1ドル=160円台半ば以上に円安進むか
資産を持つ人と持たない人の格差拡大へ
高市政権の積極財政、緩和的な金融政策の重視は続くだろう。日銀の金融政策の正常化にも、まだ時間がかかる可能性は高い。
それらは、いずれも円売りの増加要因になるはずだ。1ドル=160円台の半ば、あるいはそれ以上に円安が進行すれば、エネルギー資源、ナフサなどの基礎資材、肥料や半導体、食料などの輸入物価の上昇は避けられない。わが国のインフレ率は一段と上昇する恐れがある。
その結果、わが国全体で経済の格差が深刻化する可能性がある。民間企業部門では、海外で稼ぐ力を持つ企業と、国内取引・国内消費に依存する企業の長期存続力にかなりの差が出るはずだ。個人では、資産を持つ人と持たない人の格差が拡大するだろう。
特に、個人消費への打撃は慎重に考えるべきだ。わが国の個人消費は、コロナ禍発生以前の水準を安定的には上回っていない。2019年7~9月期の民間最終消費支出は、実質ベースで約313兆円とGDPに占める割合は54%だった。それが26年1~3月期は約310兆円であり、ウエートは52%に低下した。
GDPの過半を占める個人消費が安定して増えないと、景気の本格的な回復はおぼつかない。円安がさらに進行すると、家計の節約志向は高まり、内需の縮小は加速することも懸念される。
その場合、飲食、宿泊、交通、建設といった分野で、中小事業者の倒産件数が増える懸念がある。格差の拡大は、教育や子育てなどにも影響し、潜在成長率の下振れリスクが高まることが予想される。
そうした展開を避けるためにも、もっと真剣に円安の是正と為替レートの安定に必要な方策を検討、実行すべきだ。現政権の対応が遅れるほど、ますます円安が進み、中小企業や一般消費者の苦しみが増えることが懸念される。高市首相は現状と今後を深く理解する必要があるはずだ。








