2兆5000億円――ホンダが背負った代償

 とはいえ、現在のホンダを取り巻く状況は穏やかとは言い難い。

 EV戦略の見直しに伴い、2026年3月期に計上したEV関連損失は実に1兆5778億円。その結果、会社全体で4143億円の営業赤字に転落してしまった。上場以来初の通期赤字である。更に今後発生する可能性のある要素まで含めると、EV戦略見直しに伴う損失は最大2兆5000億円に達するという。

 何といっても2兆5000億円という巨大な金額である。ホンダが本業で――しかもその大半を二輪事業で――2年半かけて生む利益に匹敵する金額だ。

図表:ホンダEV関連損失(億円)ホンダの2026年3月期決算に見るEV関連損失。赤い棒グラフのみマイナスで、-4143億円。(編集部作成) 拡大画像表示

 株主だって黙ってはいまい。何しとるねん、と泣き言のひとつも言いたいはずだ。

Honda 0、AFEELA……相次ぐEV計画の中止

 実際、EV事業の見直し規模は尋常ではない。

 北米で生産する予定だった「Honda 0 SUV」「Honda 0 Saloon」「Acura RSX」のEV三羽烏は、開発そのものを中止した。カナダはオンタリオ州で進めていたEVの包括的なバリューチェーン構築計画も無期限延期となった。

「Honda 0 α」のプロトタイプ「Honda 0 α」のプロトタイプ(2025年10月のプレスリリースより)

 更にソニーと50%ずつ出資し、2022年に華々しく立ち上げたソニー・ホンダモビリティも、第一弾となるはずだった「AFEELA 1」と第2弾モデルの開発を中止してしまった。事業は大幅に縮小され、新会社の従業員は両親会社へ再配置されることになった。新しいクルマ造りに燃えて入社した人はどうするのでしょう。人生狂いますよマジで。

開発を終了した「AFEELA 1」ソニー・ホンダモビリティは「AFEELA 1」の開発を終了。同社の公式サイトは現在この状態だ

 こうなると「戦略の修正」などというレベルではない。

 ホンダはこれまで描いてきた「EV戦略」そのものを大きく描き直そうとしているのだ。