世界に1000個のカテゴリーがあれば、チャンピオンは1000人しか生まれない。しかし「2つのカテゴリーの交差点」を立地にすれば、その数は一気に49万9500人に増える――。『人生の経営戦略――自分の人生を自分で考えて生きるための戦略コンセプト20』の著者・山口周さんが示すこの計算は、「組み合わせ」という戦略の可能性を鮮やかに教えてくれます。では、自分だけのユニークな組み合わせは、どこに見つければいいのか。答えは意外にも「過去」にありました。(構成/小川晶子、ダイヤモンド社書籍編集局)

「誰にもマネできない人生」を送る人がやっていること・ベスト1Photo: Adobe Stock

チャンピオンの椅子は「500倍」に増やせる

――ブルー・オーシャン戦略を個人の人生にあてはめたとき、「独自の交差点」が重要だというお話を伺いました。それぞれの要素において一流でなくても、「組み合わせ」によって唯一無二の存在になれるというのは、とても勇気の出る話です。

山口周氏(以下、山口):仮に世界に1000個のカテゴリーが存在し、それぞれに一人のチャンピオンがいるとすれば、世界には1000人のチャンピオンしか生まれ得ませんよね。残りの人々は、その立場を甘んじて受け入れるか、チャンピオンを追い落として椅子を奪うかの2つの選択肢しかありません。

しかし、1000個のカテゴリーのうち2つのカテゴリーが重なり合う交差点が立地になるなら、チャンピオンの数は1000人から一気に49万9500人にまで増えます。交差点を立地にするだけで、世界に存在しうるチャンピオンの数は500倍に増えるんです。

3つの重なり合う領域まで含めれば、1億人以上になります。一人ひとりが自分ならではのユニークな組み合わせで「自分のブルー・オーシャン」を築くことで、世界はもっとしなやかで、伸び伸びと働ける場所になっていくはずです。

ヒントは「ずっと好きでやってきたこと」

――自分だけの組み合わせは、どうやって見つければいいのでしょうか。

山口:「ずっと好きでやってきたこと」に着目してください。なぜかというと、「他人にとって簡単に模倣できないこと」「他人が簡単に獲得できない知識やスキルや感性」とは、「大量の時間資本を投下しなければ獲得できないこと」と同義だからです。

つまり、その人が好きでずっとやってきたことの中にこそ、組み合わせを考える鍵があるということです。流行のスキルを新しく身につけるより、すでに自分が膨大な時間を注いできたものと、いまの仕事や専門性との交差点を探す方が、はるかに模倣困難なポジションをつくれるのです。

過去をつなぎ合わせて未来をつくる

――そういう意味では、若い頃の「回り道」も無駄ではないかもしれませんね。

山口:スティーブ・ジョブズは、スタンフォード大学の卒業生に向けたスピーチで「点をつなげよう=Connecting the dots」というメッセージを送りました。未来を見通すことはできない。人生を作り上げていくためには、過去を活かしていくしかない、というエールです。

その人ならではの居場所を考えるヒントは、自分の過去の人生の中にあります。そしてまた、過去をつなぎ合わせて作り上げていく未来が、過去に新しい意味合いを与えることにもなります。その積み重ねが、最終的に「人生の意味合い」を形作っていくのだと思います。