「コールセンター」を改称し
スタッフの評価軸も変わった

 次に、日本ではサービスを展開していませんが、アメリカの有名な靴の通販企業Zappos(ザッポス)の例をご紹介します。この会社は対面で顧客対応をしないのに、いわゆる神対応で知られており、新規顧客獲得の43%がクチコミで、購入の約75%をリピーターが占めるという驚きの結果を出しています。

「Amazonがどうしても欲しかった企業」としても知られ、2009年に約800億円でAmazonに買収されました。買収後も、自社の文化を維持したまま独立経営を行っています。

 その飛躍のきっかけは、従来「コールセンター」としていた部門を「カスタマーロイヤリティチーム」へと名称変更したことでした。背景には、従来の「コールセンター」が「電話を受ける/注文をとる」といった、受動的・オペレーショナルなイメージにとどまっていたことがあります。しかし、顧客の購買プロセス・ブランド接点がオンラインを中心に変わる中で、電話対応の場面も「顧客との関係を育て、ファン化を推し進める機会」と捉え直したのです。

 この名称変更と役割再定義によって「単なる問い合わせ窓口」ではなく「顧客をブランドのファンに変えるチーム」というミッションを意識できるようになりました。社内/社外の見え方も、「コストセンター」から「ブランド価値を生む顧客接点」へと変化しました。

 名称変更および役割再定義に伴い、Zapposでは次のように評価指標が刷新されています。

● 「コールセンター」時代
通話件数・応答時間・解決時間といった「いかに早く処理するか」を重視した指標
● 「カスタマーロイヤリティチーム」導入後
「ファン化率」「リピーター比率」「顧客生涯価値(Customer Lifetime Value=CLTV)」といった「どれだけ関係性を深められたか」を重視した指標

 つまり、役割名の変更によって「処理効率」重視から「顧客関係・価値創出」重視へと、評価軸がシフトしたのです。

 このように想いを込めて新しい名前をつけることで、働く人の意識を変えたり、誇りが持てるようになったりした事例もあります。ぜひ自分の部署でも、みんなが語りたくなるようなストーリーと名前をつけることにチャレンジしてみてください。