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あなたの職場には、若手から距離を置かれ、孤独感を漂わせているベテランがいないだろうか。本人は頼もしい先輩を演じているつもりでも、実はその態度こそが周囲から嫌われる原因だった。本記事では越川慎司著『815社17万人を分析してわかった 会社から期待されている人の習慣115』をもとに、本当に職場で愛されるベテランの共通点を解説する。(構成/ダイヤモンド社・石井一穂)
「過去のミス」を一切明かさない人の末路
「◯◯さん、今回の件で少し不手際がありまして……」
後輩が恐る恐るトラブルの報告にやってきたとき、腕を組みながらこんなリアクションをしていないだろうか。
「そんな初歩的なミス、俺の若い頃じゃあり得なかったけどな。俺は昔から段取りを完璧に組んでやってきたから、そんな失敗は一度もしたことがないよ」
呆れたようにため息をつき、「自分の完璧さ」と「過去の優秀さ」をここぞとばかりにアピールする。
本人は「威厳のある頼もしい先輩」を演出したつもりかもしれない。
しかし、報告した側の後輩の心に残るのは尊敬ではなく、冷ややかなあきれだ。
席に戻った後輩は、同僚にこう耳打ちする。
「昔の自慢話ばかりで、自分の失敗談はひとつも明かさない。あの上司には二度と弱みや相談を持ちかけたくないです」
本人は頼りがいのあるベテランを気取っているつもりでも、周囲からは「自慢ばかりで近寄りがたい教え魔」として静かに距離を置かれていくのだ。
職場で慕われる「優秀なベテラン」の特徴
「部下の前では常に完璧な先輩でいなければならない」
「自分の失敗談や弱みを見せたら、舐められて立場がなくなる」
そう思い込み、過去の成功体験ばかりを語り、過去のミスや失敗を「なかったこと」にして隠す人は多い。
だがじつは、その「完璧を演じて自分の失敗を隠す態度」こそが、周囲に圧迫感を与え、部下から嫌われる最大の原因になっている。
『会社から期待されている人の習慣115』には、周囲から真に信頼される一流のベテランの共通点について、下記のように示されている。
各社で期待されているリーダーの62%が、自身の失敗談を何かしらの形で共有していることがわかりました。
一般社員で実践していたのはわずか7%のみでしたから、その比率には8.8倍もの差があります。
(越川慎司著『815社17万人を分析してわかった 会社から期待されている人の習慣115』より)
職場で嫌われるベテランは、自分のプライドを守るために完璧を装う。
しかし、本当に優秀な人は、自分の過去の失敗を「社内の教訓」としてオープンに共有し、周囲が同じ落とし穴にはまらないよう配慮しているのだ。
上司が失敗をさらけ出すと、部下は挑戦しやすくなる
ベテランが自らの失敗や弱みをさらけ出すことには、単なる共有以上の大きな効果がある。
同書では、このように紹介されている。
自分の弱さを見せることで、周囲の人も弱さを見せやすくなります。とくにリーダーが失敗を語ると、部下は「この人も悩みながらやってきたんだ」と安心でき、挑戦や提案のハードルが下がります。
期待されている人たちは、この効果を直感的に理解しているからこそ、自分の失敗談を恥ずかしがらずに語り、失敗を隠さない文化を率先して作り出しているのです。
(越川慎司著『815社17万人を分析してわかった 会社から期待されている人の習慣115』より)
「自分も過去にこんなミスをして焦ったことがあるよ」と先輩が笑って自己開示してくれるからこそ、後輩は「この人になら安心して相談できる」「自分も恐れずに挑戦してみよう」と思えるようになる。
自分の完璧さを誇示して威圧感を与えるベテランのもとでは、部下はミスを隠すようになり、チームの成長は止まってしまうのだ。
失敗からの「学び」を共有できる人が信頼される
過去のミスや思い出したくもない失敗を「なかったこと」にしたい気持ちは、誰にでもあるだろう。
しかし、同書ではこう締めくくられている。
多くの人は、自分の失敗をこっそり心にしまい込みます。
会議での発言ミス、プレゼンでの説明不足、プロジェクトでの判断ミス。思い出したくもない過去を「なかったこと」にしたくなる気持ちはよくわかります。
ですが期待されている人たちは、失敗を共有する勇気が信頼を生むことを知っています。
完璧な人だけが信頼されるのではありません。失敗からの学びを言語化できる人もまた、大きな信頼を得られるのです。
(越川慎司著『815社17万人を分析してわかった 会社から期待されている人の習慣115』より)
自分のプライドのために完璧な人を演じ、過去の成功談ばかりを語るベテランは、周囲から「教え魔」「近寄りがたい人」として嫌われていく。
逆に、自分の失敗を包み隠さず語り、そこからの学びを後輩に分け与えられる人。
それこそが、何歳になっても職場で愛され、周囲から深く信頼され続ける「本当に優秀なベテラン」の姿なのである。
株式会社クロスリバー 代表取締役社長
日系通信会社や外資ベンチャーなどを経て2005年にマイクロソフト米国本社へ入社。その後、日本マイクロソフトの役員としてExcelやPowerPointなどの事業責任者を務める。2017年には週休3日・複業を実践する会社、株式会社クロスリバーを設立し、800社以上の働き方改革を支援。年300回以上提供する企業向けオンライン講座の受講者満足度は平均96%、行動に移す受講者は95%以上。著書は『世界の一流は「休日」に何をしているのか』(クロスメディア・パブリッシング)や、『AI分析でわかった トップ5%社員の習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など33冊、累計130万部。NHK、TBS、テレビ東京、PIVOT、NewsPicksやReHacQなどメディア出演多数。







