図表4-5はトラブル前後のトリートメント群とコントロール群での店舗あたりの売上数量を示しています。

図表4-5 トラブル前後の店舗あたりの売上数量の比較同書より転載 拡大画像表示

前後比較だけでは物流悪化の
影響を見落としてしまう

●はトリートメント群(SF Expressを利用)の値を示しており、▲はコントロール群(Cainiaoを利用)の値を示しています。横軸は期間を表しており、この事例ではトラブル後のデータも記載されています。

 まずトリートメント群(●)を見てみます。トラブル前とトラブル中を前後比較で見てみると、売上は横ばいとなっており、「思ったほど大きな影響はなさそうだ」と判断してしまいそうです。

 しかし、コントロール群(▲)に目を移すと、同じ時期に売上が大きく伸びていることがわかります。これは、トラブル期間の最中である6月1日からアリババ全体でプロモーションが実施されていたためです。

 つまりトラブルがなければ、トリートメント群もプロモーションの恩恵で売上が伸びていたはずなのに、その上昇がトラブルの影響で相殺されて横ばいに見えていたと考えられます。トラブル後はプロモーションも終了するため、トリートメント群もコントロール群もトラブル前と比べておよそ1.1倍程度の水準に落ち着いています。

 このように、前後比較だけでは、物流品質悪化の効果がプロモーションの影響によって埋もれ、見落とされてしまいます。そこでDIDで分析されることになりました(編集部注:DIDとは、ある出来事の影響を受けたグループと受けなかったグループについて、前後の変化の差を比較し、その出来事の効果を推定する手法のこと)。