トラック運転手や倉庫の作業員などの人手に依存する物流は、他産業に比べてデジタル化や効率化が遅れている。だが将来的な労働力不足は必至の状況で、今注目を集めているのが最新テクノロジーを取り入れた物流スタートアップだ。特集『物流大戦』の#14では、スタートアップや投資家を取材し、ダイヤモンド編集部で厳選した物流ベンチャー10社を紹介する。(ダイヤモンド編集部 田中唯翔)
「スキマバイト」タイミー上場
物流テックに熱い視線が注がれる理由
2024年7月、「スキマバイト」アプリを運営するタイミーが東京証券取引所グロース市場に上場し、スタートアップの大型IPO(新規株式公開)として注目を集めた。
実はタイミーのクライアントの44%を占めるのが、物流関連企業である。同社躍進のきっかけとなったのが、倉庫のアルバイト紹介など物流関連事業だった。
売り上げの7割を飲食業のバイトの紹介が占めていたものの、新型コロナウイルスの感染拡大で売り上げが激減。コロナ禍でも売り上げが落ちていなかった物流業界へ案件をシフトさせた。
タイミーで物流案件の事業を統括する柳泉優樹氏は、荷物量の波動が大きい物流業界について「『スキマバイト』とのシナジーはかなり強い」と述べる。
その結果、19年10月期に8300万円だった売上高が、物流案件の増加とともに23年10月期には161億円にまで成長した。
タイミーに続けとばかりに今、新進の「物流テック」が続々と誕生している。
例えば日本最大級のスタートアップ・ピッチイベント「IVS」で今年優勝したのは、自動倉庫の開発を手掛ける東京大学発のベンチャー、RENATUS ROBOTICS(レナトスロボティクス)だ。
なぜ今、物流テックが勃興しているかといえば、物流業界はトラック運転手や倉庫の作業員などの人手に依存し、他産業と比べてデジタル化や省人化が遅れているからだ。それだけに解決すべき課題は多い。
そこでダイヤモンド編集部は、ベンチャーキャピタル(VC)や金融機関、大手企業を取材し、物流テックとして注目度が高いベンチャー10社を厳選した。物流業界が抱える課題を解決し得る「10傑」はどこか。次ページで全公開する。