不良従業員との闘いは
新たなステージへ

 わたしはこの変化に対応するためには、この問題に対するコンプライアンスルールをグローバルルールへとシフトアップすべきだと提案します。ひらたく言えば、日本企業的な性善説ルールでは問題は解決しないということです。

 わたしはグローバル企業のコンサルをやってきたので何度も体験しているのですが、多くの国々では企業犯罪のレベルや前提が日本とは違うものです。

 たとえばフィリピンの小売店の運営者が実体験した不祥事や内部犯罪をヒアリングすると、実例としては日本人の想像を超える事態が起きていることがわかります。

 アジアに進出した日本のコンビニの担当者からは、バイトがお店のおにぎりを勝手に食べ始めたのを目にして「ここから教えなければいけないのか」と落胆したという話も聞きました。

 正社員だからと安心もできません。香港で幹部社員が取引先とグルになって不正を行ったケースも知っています。

 今回のケースの犯人がどのような人物なのかはわかりません。しかし本部のリスク管理の責任者の視点では、店長クラスの正社員が裏社会とつながっているような最悪のケースから、バイトが悪意で盗んだケース、そしてひょっとすると当事者はそこまで悪いことだと思っていないケースまで、これまでとは違う次元まで想定を広げないと問題は撲滅できない。そんな事態を飲食大手は迎えているのです。

 これだけ大規模なキャンペーンを中止したということは、くら寿司の実質的な損害は二けた億円に上るでしょう。しかしキャンペーンが成功すれば、逆にそれ以上の利益がもたらされる。これは競合他社にとっても同じです。この事件、飲食各社にとっては対岸の火事ではなく、自分事にすべき大きめの悩みがまたひとつ増えたという、新しい現実なのです。

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