要するに倒壊した割合自体は2.2%にとどまったものの、解体もしくは建て替えた住宅はその約8倍にも上るわけだ。震度7を2回、震度6強・6弱を計5回観測した地域で、倒壊こそ免れながら、解体や建て替えを余儀なくされた住宅がこれだけある。基準を満たしていただけでは、個人の住まいと資産を守り切れない現実が浮き彫りになった形とも言えるだろう。
耐震基準だけでは家を守れない
シロアリや雨漏りを放置するリスク
そして、耐震の「基準」はもちろんのこと、建物の“その後”も被害を左右する。実際、2024年の能登半島地震に関する国の調査では、シロアリなどの被害がある住宅とない住宅とで、倒壊の割合に差が出ている。新耐震基準の住宅では、被害がない家の倒壊率5.0%に対し、被害がある家は13.2%と約3倍。2000年基準では、被害なしの0.5%に対し、被害ありは7.7%にまで上がっていた。
母数が少ないため一般化が難しい部分はあるが、基準の新旧を問わず、劣化のある住宅で倒壊が増えるという傾向は一貫している。
例えば、さまざまな部分で100点満点の住宅があったとしよう。そんな家でもシロアリ被害や雨漏りを放置するなど、適切なメンテナンスを怠れば80点、70点へと下がっていく。耐震基準で言えば、2000年基準を満たした家が、劣化によってひとつ前の基準レベルまで性能を落としている状態、あるいはそれを下回る性能に等しい。
だからこそ、建てたときの性能をどれだけ保てるかが、地震の被害にも大きな影響を及ぼすことになるのだ。能登のデータは日々の現場で私たちが感じてきた実感を、具体的に裏付ける結果となった。
繰り返す地震のリスクに
耐えうる家の「3つの条件」
2つの地震のデータから、住宅のリスクは耐震基準だけで測れない、ということがおわかりいただけたと思う。では、繰り返す地震に耐えうる家の条件とは何か。焦点は次の3つの軸に絞られる。
(1)立地と地盤 液状化の被害は築年数を問わない
どれほど建物が頑丈でも、地盤が揺れやすければ被害は大きくなり、液状化が起きれば家は傾く。熊本でも能登でも、築浅の住宅が液状化で住めなくなった事例がある。耐震性能とは別の次元で、住宅を脅かすリスクだ。







