(2)初期性能 熊本・能登で「倒壊ゼロ」を証明した耐震等級3
耐震基準が新しいほど倒壊率が低いことは、先に見た通りである。さらに注目すべきは耐震等級3の実績だ。2016年熊本地震では、耐震等級3の住宅16棟のうち14棟が無被害、2棟が軽微または小破で、倒壊はゼロ。能登半島地震でも倒壊事例は確認されていない。
(3)築後の維持管理 シロアリや雨漏りで倒壊リスクは一気に跳ね上がる
能登のデータが示す通り、どれほど初期性能が高い住宅であっても、劣化を放置すれば設計通りの性能は発揮できない。施工が適切であったとしても、年月とともにシロアリや雨漏りが構造材を傷めれば、耐震性は確実に低下する。定期的な点検と補修によって、建築時の状態をいかに維持できるかが重要となる。
これら3つの条件をあわせて満たすことこそが、繰り返す地震のリスクを減らす現実的な手立てとなる。
「2000年基準だから安心」は危険?
中古住宅を買う前に確認すべきポイント
(1)~(3)の条件を念頭に、現在の住まいや検討段階に応じて、具体的に何から着手すべきかを見ていこう。
旧耐震基準や1981年~2000年の新耐震基準の住宅の場合は、まずは耐震診断をお勧めする。現状の耐震性能を把握することが、補修や建て替えに向けた客観的な判断材料となるからだ。コスト面や立地の良さからこの年代の物件に住み続けるケースは少なくないが、先に見た通り新耐震基準の倒壊率は8.7%と決して低くない。耐震診断がその第一歩になる。
そして、2000年基準や耐震等級3の住宅であっても、油断は禁物と言える。(3)で確認したシロアリや雨漏りによる劣化は、構造を揺るがす隠れたリスクにもなり得る。専門家の知見を借りて、床下や屋根裏を含めた建物の状態を一度しっかり確認しておきたい。
これから中古住宅を購入する方にとっては、この問題はより深刻だ。耐震等級3の中古物件は市場に出ること自体が少なく、新耐震基準や2000年基準の物件を選ぶケースが多くなるからだ。購入前にホームインスペクションを受ければ、仮に傷んでいる箇所が見つかっても補修費用を織り込んだうえで判断できる。リスクを知らずに買うのと、納得したうえで決めるのとでは、その後の暮らしの安心感がまるで違ってくる。
あわせて、(1)の立地リスクに関わるハザードマップの最新版も確認しておこう。「以前確認したから大丈夫」とそのままにしてしまうケースは多い。しかし、自治体の公開する情報は、新たな被害予測をもとに見直されていくものだ。定期的にチェックし直し、常に最新の情報へと更新しておく姿勢が欠かせない。







