基準は建てた時点の指標
“今の家の状態”から備える

 自然災害が相次ぐ時代に、「2000年基準だから安心」「耐震等級3だから大丈夫」と信じたくなるのも無理はない。だが、基準はあくまで建てた時点での設計値にすぎない。立地のリスク、施工の精度、そして建ってからの劣化。どこかに見落としがあれば、基準通りの力は発揮されにくくなってしまう。

 信じるべきは基準の数字ではなく、今の家の状態である。自分の住まいの「今」を知り、必要な手を打つこと。10年前の熊本、2年前の能登が残したデータこそが、その備えの重要性を裏付けていると言えるだろう。

 改めて、令和8年熊本地震で被災された方々が、一日も早く安心できる暮らしを取り戻されることを心から願っている。

<参考>
◆熊本地震の耐震基準別倒壊率(旧耐震/新耐震8.7%/2000年基準2.2%・7棟)
出典:国土交通省「熊本地震における建築物被害原因分析検討会 報告書」
該当箇所:第3章 3.2「益城町中心部における悉皆調査」図3
https://www.mlit.go.jp/report/press/house05_hh_000633.html

◆倒壊した2000年基準7棟の原因(施工不良・地盤・揺れやすい地盤)、耐震等級3の被害状況
出典:上記
該当箇所:第3章 3. 3「木造建築物の被害の特徴と要因」

◆2年後追跡調査(更地10.2%+建て替え7.9%=18.1%)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaee/19/1/19_1_21/_article/-char/ja/
出典:角田功太郎ほか『2016年熊本地震から2年経過した益城町市街地の被災建物の現況調査』

◆能登半島地震のシロアリ被害と倒壊率の関係
https://www.kenken.go.jp/japanese/contents/publications/data/212/index.html
5.2 木造建築物の被害

(株式会社さくら事務所創業者・不動産コンサルタント 長嶋 修)

さくら事務所公式サイト
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