ただし、面と向かって戦うことは、人の急所である頭や顔に重いキズを受ける危険をはらんでいます。捕食目的で攻撃されている場合を除き、積極的に戦いをいどむことは避けたほうがよいでしょう。

 東北でクマから攻撃を受け、ドクターヘリで搬送されたけが人のほとんどは頭部に大きな外傷を負っていて、防御姿勢をとった7人だけが軽傷で済んでいます。事故後のニュースでは、「被害者の命に別状はない」といった報道がなされますが、クマによる被害を受けた人の多くが頭や顔に大けがを負っていることは忘れてはならないでしょう。

 クマとの戦いの結果は、運に大きく左右されるのです。

防御姿勢でも引きずられそうなら
徹底抗戦するしかない

『クマに出遭ってしまったら?』書影『クマに出遭ってしまったら?』(山崎晃司編著、PHP研究所)

 クマの攻撃時の行動や表情から、防御的な攻撃をしようとしているのか、それとも捕食目的の攻撃なのかをはっきりと判断することは難しいでしょう。しかし、ゆっくりと日和見的に近づいてきて、しつこくようすをうかがっているような場合は、捕食目的かもしれません。

 あるいは、いよいよクマに攻撃されて地面に倒され、防御姿勢をとったにもかかわらず、いつまでも攻撃が続き、咥えて引きずられそうになった場合には、捕食目的である可能性がいっそう強まります。このような場合は、防御姿勢を続けていてもクマは立ち去らないので、なんとか徹底抗戦するしかありません。

 武器になるものがなければ、こぶしでクマの顔や柔らかい鼻づらを殴る、指を目に突っ込む、口の中にこぶしを突っ込むなど、とにかくできることをして抵抗しましょう。

 のしかかられているなら、足や膝で思いきり蹴り上げる方法もあるかもしれません。