ツキノワグマ写真はイメージです Photo:PIXTA

クマによる人身被害が急増したことで、ネット上には真偽不明のクマ撃退法があふれている。万が一クマに出遭ってしまったとき、我々はどうしたらいいのだろうか。専門家が解説する。※本稿は、生態学者の小池伸介『クマは都心に現れるのか?』(扶桑社)の一部を抜粋・編集したものです。

2025年度のクマ被害は
統計開始以来、過去最悪

 東北地方を中心に、クマ(ツキノワグマ)による人身被害が後を絶たなかった。環境省のまとめでは、2025年度は12月末時点でヒグマによる事件も含め、13人の死者を含む236人が被害に遭った。単年度として死者数、被害者数ともに統計開始以来過去最悪という深刻な事態である(環境省資料:人身被害について)。

 被害拡大の背景には、人の生活圏にクマが多く出没するようになったことがある。

 環境省の調べでは、2023年の人身被害のうち、市街地など人の生活圏で起きた割合は7月と8月がともに5割ほどで、9月に7割となった。ところが、2025年は7月の時点ですでに7割に達していた。夏の早い時期から人の生活圏にクマが出没するケースが増えている。これは、クマの行動パターンが夏の段階から例年とは異なっていたことを示す重要な指標と言える。

 環境省の資料によれば、近年のクマによる人身被害件数は下の表のように推移している。

図表:クマ類による人身事故件数同書より転載 拡大画像表示