同社に率直な疑問をぶつけると、「タッチがなくなるかどうかの違い」という。確かにプレスリリースにも「スマホ改札 Suicaタッチ不要」と書いてあるが、これだけでは利用者は納得しない。スマホ操作よりタッチの方が簡単であるし、慣れ親しんだタッチを置き換えるほどの訴求力はない。まさか通勤ラッシュの改札口で「チェックイン」してくれとはならないだろう。

 そこで、両サービスの違いについてさらに尋ねると「2030年代中頃のSuicaは、今とは全く違う世界になっている」としつつも「全ての人がスマホ利用するようにはいかない」と述べた。つまり「スマホ改札」は「今とは全く違う世界のSuica」に対応したサービスで、「どこでも改札」は現行Suicaの利用を担保する役割というわけだ。

 抽象的で分かりにくいが、その「今とは全く違う世界」を実現するための一手が、2028年度に導入予定の「Suicaアプリ(仮称)」だ。交通、決済、行政・地域サービスなどを統合し、「移動と少額決済のデバイス」から「生活のデバイス」へ進化させるとしている。

「途中下車」はどうなる?
次世代Suicaが変える「きっぷ」の常識

「Suicaアプリ」と「スマホ改札」が作り出す世界はどのようなものか。その第一歩となる2026年度末の「Suicaエリア統合」が営業制度にもたらす影響を通じて、Suicaの未来像を考えてみよう。

 最初に断っておくが、2026年度末に行われる営業制度の改正内容は現時点で非公表だ。以下の考察は、過去のSuicaエリア拡大の事例から、変更内容を予想(または可能性を指摘)したものであることはご承知いただきたい。

 乗車券とは本来、乗車区間・乗換駅を指定し、乗車距離に応じて運賃を決定する。しかし、都市部の複雑な路線網では現実的ではないため、実際の乗車経路によらず最短区間の運賃を収受する特例が定められた。

 ICカードにおいても同様の問題が起こる。乗り換え用改札を設置しない限り乗換駅を把握できないため、運賃は乗車駅と降車駅の最短距離で決定する必要がある(厳密には例外もあるが本論とは関係ないので省略する)。