リニア中央新幹線は何が違う?
カギを握る「超電導」の仕組み

 6年間の進化を振り返る前に、リニアの基本的なメカニズムを確認しておこう。「リニアモーター」の定義は広く、国内では既に大阪メトロ長堀鶴見緑地線や都営大江戸線などのいわゆるリニア地下鉄や、浮上式の愛知高速交通東部丘陵線(リニモ)が実用化されている。浮上高速走行を行うものとしては、2004年に開業した上海トランスラピッドが最高速度時速430キロで営業運転を行った実績がある(現在は時速300キロ)。

 リニア中央新幹線がこれらと異なるのは、心臓部たる電磁石に「超電導」を用いている点にある。超電導とは特定の金属を極低温に冷却すると、電気抵抗がゼロになる現象だ。これを電磁石に用いると、電源を切り離しても大電流が半永久的に流れ続ける強力な磁石となる。

超電導磁石超電導磁石(JR東海ウェブサイトより引用) 拡大画像表示

 超電導は医療用MRIなどで広く用いられている技術ではあるが、鉄道車両という過酷な環境で安定的に稼働させるのは簡単なことではない。問題は冷却方法だ。従来の超電導材料「ニオブチタン合金」は、液体ヘリウムでマイナス269度まで冷却する必要があった。だが、「ビスマス系銅酸化物」などを用いると、マイナス255度程度の「高温超電導」が可能になる。

 これにより、調達コスト・リスクの高い液体ヘリウムを用いずとも、電動冷凍機による直接冷却で超電導現象を安定的に発生させられるようになった。前回、2020年の試乗時はまだ研究段階だったが、「M10」は初めて高温超電導磁石専用設計で製造された車両となった。

走行・浮上用コイル走行・浮上用コイル(JR東海ウェブサイトより引用) 拡大画像表示