まさか実物大で…JR東海の「秘密に包まれた研究施設」で見た驚きの安全対策とは?Photo:PIXTA

JR東海は24日、愛知県小牧市の総合技術本部技術開発部(小牧研究施設)を報道公開した。東海道新幹線をはじめとするJR東海特有のさまざまな課題を解決するための「秘密に包まれた研究施設」における数々の取り組みについて、詳しく紹介したい。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)

報道公開の目玉となった
実物大で再現した「試験盛土」

 総合技術本部技術開発部(小牧研究施設)は2002年、「フィールドにおける現象の把握」、「論理解析とシミュレーション」、「試験装置による検証」の3プロセスを組み合わせ、課題設定型のニーズに対応する研究・技術開発を進めるために設立された。

 最大の特徴は実際の高架橋やトンネル、電車線を再現した施設や、線路や施設にかかる荷重を再現する試験線や試験装置、実際の車体や台車で走行状態を再現できるシミュレーション装置を多数、備えることだ。

 同種の施設に、国鉄の鉄道技術研究所をルーツとする東京都国立市の公益財団法人鉄道総合技術研究所(鉄道総研)があるが、こちらは今後の社会の変化やニーズの多様化にいち早く対応するため、革新的な技術を創出し、鉄道の発展と豊かな社会の実現に貢献することが使命だ。これに対して小牧研究施設は東海道新幹線をはじめとするJR東海特有の課題を解決するための施設である。

 今回の報道公開の目玉といえるのが、東海道新幹線の標準的な盛土を実物大で再現した「試験盛土」だ。近年の新幹線はほとんどの区間が高架とトンネルだが、最初の新幹線である東海道新幹線は、全線の約半分が盛土と切取に線路を敷設している。

実物大で再現した「試験盛土」実物大で再現した「試験盛土」