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マンション大規模修繕工事を巡る設計コンサルと施工会社による談合問題に対して、公正取引委員会による行政処分が下った。さらに、今回公取委処分には入っていない管理会社と施工会社間のバックマージン問題にも注目が集まっている。一連の問題の背景には何があるのか、そして解決には何が必要なのか。連載『マンション羅針盤』の第45回では、これまであまり語られてこなかったこの問題に関して、マンション管理業界の内情に詳しいマンション管理士が解説する。(マンション管理士 澤田 亮)
管理会社と施工会社間のバックマージン問題
その背景には何があるのか、構造的問題を解説
最近、マンションの大規模修繕工事を巡る談合問題が世間をにぎわせています。その一連の報道の中で、多くの区分所有者や管理組合の理事の方々に強い衝撃を与えたのが「施工会社からマンション管理会社へも紹介料(いわゆるバックマージンやキックバック。以下「紹介料」という)が支払われていた」という事実ではないでしょうか。本稿ではマンション管理士の視点から、管理会社がなぜ法的な追及を逃れながら紹介料授受に手を染めるのか、その「構造的な理由」を解き明かします。さらに、こうした悪習が排除された先に待ち受けているものについてもお話ししたいと思います。
まず、管理会社が管理組合に無断で紹介料を受け取ることの法的な問題点を簡単に整理しておきましょう。国土交通省の「マンション標準管理委託契約書コメント」にも示されている通り、管理組合と管理会社が結ぶ管理委託契約は、法的に「委任(準委任)と請負の性格を併せ持つ混合契約」と解されています。
清掃等を除き、修繕工事の企画・調整業務には「準委任契約」が適用されるため、管理会社には受任者として「善良な管理者の注意をもって業務を行う義務(善管注意義務)」が課せられています。その範囲は管理会社自身が作業を行うものも、協力業者に作業を再委託するものも含め管理委託契約の内容全般に及びます。たとえ、管理会社が協力業者に支払う金額と管理組合が管理会社に支払う金額が違っていたとしても、管理委託契約内の業務であれば、施工責任や契約不適合責任というリスクを背負う対価として適正なマージンを得るための正当な商行為となります。
これに対し、紹介料等の最大の問題点は「管理会社は何の施工責任もリスクも負わず、中立なアドバイザーの顔をしながら、裏でこっそり利益だけを抜いている」ということにあります。これは善管注意義務違反と見なされ、実質的な「利益相反行為」に当たる可能性が極めて高いといえます。
しかし、実はこうした行為に対して管理組合からの損害賠償請求といった大きな訴訟はこれまでほとんど提起されてきていませんでした。それはなぜでしょうか。次ページではマンション管理現場の現実と、管理会社の内情も含めて詳しく解説していきます。







