マンション消防設備点検の闇、「法律通り」に点検を行う業者は少数派という現実…管理組合はどう対応すべきかPhoto:PIXTA

マンションに設置されている消火器などの消防設備。法律により定期的に点検を行うことがマンション管理組合には義務付けられているが、その点検方法には実は問題が多いという。管理組合も注意しなければ意図せず法律違反を犯すことになるリスクすらあるのだ。一般人にはあまり知られていないマンションの消防設備の点検はどのように行われているのか。連載『マンション羅針盤』の第40回では、消防設備士の資格も持ち実態をよく知るマンション管理士が、消防設備点検の現状を詳しく解説する。(フルニール代表 中村優介)

 わが国に存在する多くのマンションで実施されている消防設備点検。実際に点検作業を行っている場面を目にしたり、宅内点検に立ち会ったりした経験のある方も多いと思います。ただ、マンションに設置されている消防用設備など等がどのように点検されているかを気にしている方は少ないのではないでしょうか。

 消防設備の定期的な点検は法律で義務化されており、それを行う責任は管理組合(実質的な責任の主体は管理者である理事長)にあります。消防法によると、一般的なマンションにおいては半年に1回1年のうち機器点検を2回、総合点検を1回。総合点検の際は機器点検も併せて行うため実質的に点検を行う回数は年2回)、消防設備士または消防設備点検資格者などの有資格者によって点検を行い、3年に1回その結果を消防署に報告しなければならない、ということになっています。

 有資格者とは「消防設備士免状の交付を受けている者又は総務省令で定める資格を有する者」(消防法第17条の3の3)です。消防設備士免状には甲種と乙種があり、甲種は工事整備対象設備等の工事・整備と点検の両方を、乙種は整備・点検のみを行うことができます。また、取り扱うことができる消防設備ごとに1~7類(6・7類は乙種のみ)、特類に分かれます。後者の消防設備点検資格者は点検できる消防設備ごとに第1種・第2種・特種があります。

 延べ面積が1000平方メートル未満であれば、実は法令上は無資格でも点検可能ですが、点検を行うには一定の知識が求められますし加熱試験器等の専門的な道具も必要なため、小規模なマンションであっても、消防設備士を抱えている専門の消防設備点検会社などに点検を委託するのが一般的です。

 こうした消防設備士が行うのが消防設備点検なのですが、実は現在マンションで行われている点検にはさまざまな問題があるということをご存じでしょうか。注意しないと、意図せずに管理組合理事長が法令違反を犯すという事態にもなりかねないのです。今回は、消防設備士甲種4類・乙種6類および消防設備点検資格者1種・2種を保有し、点検・工事実務の経験もあるマンション管理士として、特に消火器の点検に着目して解説します。