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マンションの大規模修繕工事を巡る談合事件で、公正取引委員会が談合の認定と建設コンサルタント2社、施工会社40社に行政処分を下した。さらに、管理会社が管理組合の承諾なしに施工会社からバックマージンを受け取ったという報道もなされた。貴重な修繕積立金を巡る不正に怒り、管理会社や施工会社を非難する人は多いが、では実際に管理組合はどのような対策をすればいいのか。連載『マンション羅針盤』の第44回では、管理の現場に精通したマンション管理士が、あまり語られない実態も含めて現実的な解を解説する。(フルニール代表 中村優介)
公取委が認定した談合の「外」にも不正が!?
朝日が報じた管理会社のバックマージンの意味するところとは
2026年9月28日、公正取引委員会は関東1都6県のマンション大規模修繕工事171件で談合があったと認定しました。対象は設計コンサルタントのリノシスコーポレーションと翔設計の2社、そして施工会社40社で、大規模修繕工事を巡る行政処分は、これが初めてです。さらに10月21日には朝日新聞が、談合に加わった工事業者の社員が「マンション管理会社にも金銭を払っていた」と証言したと報じました。
前者の設計コンサルと施工会社による談合は公取委が独占禁止法違反(不当な取引制限)と認定したものであり、許されない行為です。一方後者の、朝日がバックマージンを受け取ったと報道した管理会社は、公取委が認定した談合の構図の外にいました。
朝日は「ある大手管理会社の契約書に、『管理会社が紹介した工事の完了後に施工会社が売り上げの10%を紹介手数料として払う』と定められていた」と報じています。こうした契約書は私も管理会社時代に実務で目にしたことがあり、特段珍しいものではありません。10%という数字も含めて、紹介の対価を取り決めること自体は業界で広く行われていることだと私は認識しています。
国土交通省が25年12月に改正したマンション標準管理委託契約書ではコメント(第26条関係)で、「管理業者は役務の提供を伴わない紹介手数料や謝礼などを管理組合の総会の承認を経ずに管理組合以外の者から受け取ってはならない」としています。禁じられているのは「役務の提供を伴わない」金銭で、役務の対価として見積書に「マネジメント料」などの名目で明記するものとは異なります。
朝日新聞の記事の中でも、「管理会社は信義則上組合のために業務を行う義務を負うので、情報提供の見返りに金銭を受け取る行為は契約解除の理由になりうる」と指摘しています。つまり、これは違法かどうかというより組合との信頼関係の問題です。問題の核心は金銭のやりとりそのものより「組合に隠して」受け取ることにあります。
ちなみに、隠す側にもそれなりの事情があります。今でこそ売り手市場ですが、数年前までのデフレ下の買い手市場では管理会社は管理組合に強く出られませんでした。手数料を見積書の項目に明記すれば理事会で攻撃され、これを安易に承認してしまえば理事会も総会で突き上げられる。「違法でないのなら内々にしておいて受け取る方が、管理会社にとっても理事会にとっても都合がよかった」という現実があるのです。
つまり、この問題は単に管理会社を批判するだけでは解決しないのです。談合はけしからん、撲滅すべきだと怒り、管理会社を責めるだけでは「適切な工事を適切な価格で発注し実施する」という管理組合が目指すべきゴールは達成できません。では、どうすればいいのか。次ページから具体的に見ていきましょう。







