研究では、練習中の仕事の出来が同程度の人同士を比べている。
最も低い日給をもらう人は、全員が同じ低い日給をもらう場合に比べ、出勤率が約12ポイント下がった。出勤率とは、勤務予定日のうち実際に出勤した日の割合だ。生産量も減り、その差は新しい日給を伝えてから約5日後に表れ始めた。
給料が高い側にも変化が出た。自分が同僚より高い日給をもらう人は、周りも自分と同額をもらう場合と比べて、出勤率が約10ポイント下がった。
給料の差を納得できるかで
働く意欲は変わる
実験の後半の参加者は、最終日に2人で協力するゲームにも取り組んだ。たとえば、似た絵が描かれた紙を1枚ずつ持ち、見比べて違いを探す。2人とも正しく丸をつけた数が得点となり、最後に抽選で選ばれたゲームの得点に応じて報酬を受け取る。
このゲームでは、同じチームの仲間同士で組んだペアを比べると、日給に差があったチームのほうが、日給が同じチームより成績が低かった。協力すれば自分も得をする場面でも、給料の差による影響が表れたのである。
給料に差をつけるチームでは、多く作れた人ほど日給を高くした。同僚がどれだけ作れるか分かりにくい職場では、この給料の決め方で欠勤が増え、生産量も減った。
結果が違ったのは、同僚の仕事ぶりを観察しやすく、給料が高い人のほうが実際に生産性も高いことがわかる仕事だった。こうした職場では、給料の差による欠勤の増加や生産量の低下は見られなかった。
この実験が示唆するのは、給料の差そのものだけでなく、その理由を働く側が納得できるかどうかが、働き方に影響しうるということだ。
採用のために初任給を上げる会社に
求められていること
会社が避けるべきなのは、社員から見て理由の分からない給料の差をつけ、そのまま働かせることだ。多く作れる人に高く払うなら、周りにもその働きぶりが分かる必要がある。給料の高い理由が見えず、自分だけ安く扱われていると受け止められれば、仕事への意欲を損なう。
新卒の給料を大きく引き上げる一方、既存社員の賃上げがそれに追いつかず、両者の差が縮まる会社もある。両者の差が縮まれば、中堅社員の働く意欲にも響くだろう。自分の経験や、後輩に教えてきた仕事が、十分に報われていないと感じるからだ。
新人を高い給料で迎える理由は説明できる。今いる社員にも、その人の仕事をいくらで評価しているのかを示すべきである。新しい人を採るためにはお金を出す。長く働いてきた人には、後輩を育てる責任を求める。それで終わらせては、社員は自分の何を認めてもらえたのか分からない。
採用のために初任給を上げる会社は、同じ職場でその新人を迎える人の給料にも、答えを用意しなければならない。







