絶対王者ダイキンの死角 空調グローバル大戦の行方ダイキン工業の井上礼之氏(写真は2024年撮影) Photo:kyodonews

ダイキン工業の空調メーカーとしての飛躍を支えてきたのは、30年以上にわたって同社の事実上のトップに君臨する井上礼之氏だ。井上氏は、名誉会長となった今も執行役員としてダイキンのかじ取りを担っている。特集『絶対王者ダイキンの死角 空調グローバル大戦の行方』の#2では、ダイキンの“カリスマ経営”の実態を明らかにするとともに、「ポスト井上礼之」の有力候補の実名を公開する。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)

ダイキンの“カリスマ名誉会長”
91歳の今も影響力は絶大

 空調のグローバルトップメーカーへと成長を遂げたダイキン工業。過去30年の飛躍は、本特集の#1『空調世界王者ダイキンのグローバル戦略を支える「2大施策」とは?最高益を連続更新も“一本足打法”に漂う不安』で見たように、現名誉会長兼グローバルグループ代表執行役員の井上礼之氏の手腕によるところが大きい。同氏は2024年に取締役を退いているが、「年間で5兆円を売り上げるまでに会社を育て上げた井上氏を尊敬する人は今でも多い」(ダイキン関係者)という。

 井上氏の経営への影響力は絶大だ。91歳の今も連日出社して会議に出席するだけでなく、役員から新入社員に至るまで、社内の幅広い層とコミュニケーションを取っており、経営方針や社内人事といった重要な意思決定に関与している。名誉会長となった現在でも、事実上の最高権力者といっても過言ではないのだ。

 肩書としては執行役員に過ぎない井上氏は、どのような形で影響力を行使しているのだろうか。取材を進めると、独特な“カリスマ経営”の実態が浮かび上がってきた。

 ダイキンについて、もう一つ気になるのが、90歳を過ぎた井上氏の後継者問題だ。実は同社のグループ会社には井上氏の子息がおり、次期トップ候補の一人として名前が挙がっているのだ。カリスマの世襲は実現するのだろうか。

 次ページでは、ダイキンの権力構造を解明するとともに、カリスマ経営の実態と、「ポスト井上」の有力候補を明らかにする。