絶対王者ダイキンの死角 空調グローバル大戦の行方#7Photo:APA-Images/JIJI

「ビーバーエアコン」で知られる三菱重工業の空調機器は50年以上もの歴史を誇る。だが、防衛をはじめBtoB事業が大部分を占める同社では、唯一のBtoCである家庭用エアコンは他部門とのシナジーが少ない上、業務用空調のシェアも低く、空調事業の存在意義は希薄だ。特集『絶対王者ダイキンの死角 空調グローバル大戦の行方』の#7では、三菱重工の空調事業を大解剖するとともに、同事業を「やめるにやめられない」事情を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)

三菱重工はエアコンの“老舗”だが…
ダイキンや三菱電機に押されシェアは低迷

 大手家電メーカーがひしめく国内空調市場の中で、異彩を放つメーカーがある。50年以上の歴史を持つ家庭用エアコン「ビーバーエアコン」を手掛ける三菱重工業だ。ほとんどがBtoBの同社の事業のうち、家庭用エアコンは唯一のBtoCである。

 ビーバーエアコンは長寿ブランドでありながら国内エアコン市場でのシェアは低迷していて、大手家電量販店で同シリーズを取り扱っていないところすらある。三菱重工はビル用マルチエアコンも手掛けるが、こちらもダイキン工業や三菱電機に押され、プレゼンスは低い。

 三菱重工の同事業の2025年度の売上高は前期比4.5%減の3531億円で、全社売上高の7.1%にとどまる。しかも、防衛や発電など同社の注力分野とのシナジーは乏しく、いつ投資家から事業分離を求められてもおかしくない状況だ。

 だが同社の空調事業関係者は「空調はやめるにやめられない」と明かす。いったいなぜだろうか。

 次ページでは、三菱重工の空調事業を大解剖するとともに、同事業を手放せない事情を明らかにする。