不慣れな新規開発者を
狙うトラブルの増加

 ただし、インディーゲームを「儲かるか、儲からないか」だけで語るのも少し違う。1984年に『札幌駅 '80』をリリースし、その後もコミックマーケットなどで自作ゲームを発表し、今回のゲームショウでは『札幌駅 '80』の難易度を高めた『国鉄上野駅1979』を展示しているてんぽくさんは「爆発的に儲けようとは考えていない」と話す。

「こういうイベントに出て、遊んでくれる人たちの顔を見られるのが楽しいんです。ただゲーム制作が『生きがい』かと言われると、そこまで大げさではない。あくまで趣味ですね」

 前述のChamさんも「自分一人でゼロから好きなように作れるのが楽しい。自分が作ったものを誰かに遊んでもらえる喜びがある」と語る。経済的な成功と、創作の喜びは別で考えるべきだろう。

 では、こうした現在の盛り上がりを業界全体ではどう見るべきなのか。

 長年、ゲーム開発者の支援や教育に携わってきたNPO法人「IGDA日本」事務局長の小野憲史さんはこう語る。

「夢があるかと言われれば、あるとは思います。最近でも少人数で作った『めっちゃカメレオン』が2000万本売れるようなケースが出ている。当然、そういう成功例が目立つので、それを見て参入する人も増えていますし、 インディーゲームを支援しようという人たちも増えています。一方で、『インディーゲームだけで生活できている人がどのくらいいるのか』という話になると、これは簡単には答えられません。そもそもインディーゲームの定義が曖昧ですから。儲かっている人がいるのは間違いないですが、その割合まで数字で出すのは難しい」

 成功例が目立てば、新たな開発者や支援する企業も集まってくる。その一方で、契約やビジネスに不慣れな開発者を狙ったトラブルも増えているという。

「エンターテインメントは何が当たるか分からないし、運が良ければものすごく大きく当たる。そうすると、いろいろな人が業界に入ってきます。よく言えば業界が活性化するし、悪く言えば、そこにつけ込んで人を騙そうとする人も出てくる。そこで、内容を十分に理解しないまま不利な契約を結ばされてしまったり、口約束ばかりでいつまで経っても正式な契約をしてもらえなかったり、そういうトラブルも増えています」

 ただ長年ゲーム業界を見てきた小野さんはこれは当然という面もあると語る。

「ゲーム業界ではこれまで何度も繰り返されてきたことでもあります。ファミコンブームの時もそうでしたし、プレイステーションのブームやソーシャルゲームのブームの時も似たようなことがありました。今はある意味、インディーゲームの『バブル』が来ているんだと思います。だからこそ、そういう問題も出てきている。やっぱり光あるところには影があるんですよ」