富裕層必見!資産防衛&節税術Photo:PIXTA

富裕層の不動産投資では、資産を「増やす」ためのステージから「守る」ためのステージへと変化させる必要がある。連載『富裕層必見!資産防衛&節税術』の第41回では、その転換点となるタイミングの見極め方を指南する。(有栖川アセットコンサルティング代表 鈴木子音)

資産規模が大きくなると
不動産に求める役割が増えていく

 本連載の#34では、「富裕層の不動産投資では、借り入れ、物件選び、売却といった判断基準が一般論とは“逆転”していく」というお話をしました。では、なぜ資産規模が変わると、不動産に求める役割まで変わるのでしょうか。

 資産形成の段階では、仮に投資で損失が生じても、その後の所得や事業収入、そして時間によって回復できる余地が比較的大きく残されています。この段階で資産額を左右するのは、資産運用の成績よりも、本業から得られる収入であることが多いものです。

 ところが、資産が一定の規模を超えると、この関係が変わってきます。例えば10億円の資産があれば、価格が1割動くだけで1億円が増減します。同じ1億円を本業の収入から新たに積み上げるには、高所得者であっても相応の時間がかかるでしょう。

 このように、資産規模が大きくなるほど、資産そのものの値動きが、本業から生み出せる収入を上回る場面が増えてくるのです。そして、ここから、不動産に期待する役割も変わってきます。

 資産形成の段階では、多少のリスクを取りながら収益を積み上げ、資産規模を拡大していくことが期待されます。そのため、利回りや値上がりの余地、取得価格といった物件単体の収益性は、極めて重要な判断材料になります。「空室の多い物件を適切な運営によって改善する」「築古物件に手を加えて新たな価値を生み出す」――。こうした投資によって資産を築いていくことも、不動産投資の一つの王道でしょう。

 一方、すでに一定規模の資産を築いた後は、不動産に求めるものが単純な収益性だけではなくなってきます。築いた資産を大きく毀損させないこと。次世代への承継を支えること。資産全体のバランスを整えること。このように、担うべき役割が単一から複数へ増えていきます。これが、「増やす」から「守る」へステージが移るということだと筆者は考えています。

 では、「増やす」から「守る」へとステージを移行させるタイミングは、どのように見極めればよいのでしょうか。次ページで、ずばり回答します。