「AIに質問する」から
「AIが提案してくる」に

 この問題についてはメタやスペースXが早急に、さらに強いプライバシー侵害対策を打ち出したほうがいいと思います。

 方向性としては「AIはカメラやマイクのデータから学習できるけど、人間は画像や音声を取り出せない」というような双方が折り合える解決策があるのではないかと考えます。たとえば画像や音声データを強制的に不可逆変換して、そのデータからAIが学ぶような仕組みです。ないしは人間には認知できないマイクロセコンドの短い秒数だけAIがデータを学習できてすぐに忘却・消去されるような仕組みでもいいかもしれません。

 そうすれば意図しない隠し撮りもなくなります。データが再生できないのでビジネスの場での「言った、言わない」がAIグラスで証拠を残せないのは残念ですが、それでもAIは「あの人は要注意人物だよ」と教えてくれるでしょう。

 さて、話をまとめます。ミューズの出現でいよいよAIの活用はパーソナルAIエージェントへと舞台が移ることになりそうです。個人のユースとしてはこれまでのような「主にAIに質問する」ような利用法から「ミューズから提案してもらう」利用法へと、ライフスタイルが変わりそうです。

 最終的に普及の課題になるのはミューズがどれくらい便利になれるかです。いわゆる「アハ!モーメント」と呼ばれる、これまでなかったような便利な瞬間が訪れれば、AIエージェントは急速に個人の生活に入ってくるでしょう。

 たとえば、

「なんか急に一時間、時間が空いてしまったな」

 と思ったらミューズが、

「あなたがインスタで何度も見ていたカレー屋さん、この先にあって、この時間帯は結構空いてるよ」

 と教えてくれたらどうでしょう?

 または、

「この服、買おうかな」

 と思ったらミューズが、

「むっちゃよく似た色とデザインの服、去年買って一度も着ていないよね」

 と思い出させてくれたり。

 何かひとつ、それまでなかった新しい体験をあなたがパーソナルAIエージェントから感じたとしたら、その瞬間、世界も同じタイミングで変わり始めるかもしれません。

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