トイザらスと西友の共通点
日本撤退から得られる教訓は?

 トイザらスは、米国流を持ち込んで一時は大きな成功を収めた。その後、国内小売企業が模倣・追随したことで価格面での競争優位性は低下した。大人のアニメやホビー愛好家のニーズに応える取り組みも遅れた。

 ウォルマート傘下で再建に取り組んだスーパーマーケットの西友にも、よく似たことがいえるだろう。

 西友は、バブル崩壊後に経営が悪化。2002年にウォルマートと提携し、2008年に完全子会社化された。経営はある程度は改善したものの、売上高の減少傾向は続いた。地域ごとの食文化や生鮮食品の取り扱いが、消費者の好みに必ずしも合っていなかったのだ。

 こうして現在、西友は九州発祥のディスカウントストア大手トライアルホールディングスに買収され、完全子会社となった。

 過去に成長を支えた発想やビジネスモデルは、いつまでも有効であるとは限らない。人口動態、経済社会の変化に伴って人々の価値観は変化する。そうした変化に機敏に対応し、迅速に経営手法を転換する組織体制を作ることが、経営者の役割だといえる。

 トイザらスのケースは、同情されるべき要素もあった。株主の入れ替わりや固定費の重さがボトルネックとなって大胆な改革に踏み込めなかった。ただ、それにしても、時代の要請に応えられないと、経営の存続が難しくなることは間違いない。

 AIの世紀が本格化したことで、経済・社会の変化のスピードは加速している。ビッグデータ分析によって、これまで分からなかった消費者の行動が明らかになる機会が増えている。少子高齢化、人口減少でも、おもちゃを子どもだけでなく大人や外国人が買うようになったように、新たなビジネスチャンスもある。

 そうした変化に直面した際、過去の意思決定への思い入れ(コミットメントのエスカレーション)にとらわれてしまうと、商機を逃してしまう。過去に支出したコストは、どう悔やんでも取り返せない(サンクコスト)。

 サンクコストにとらわれず、適切に経営判断ができるよう、平時から固定費を抑え、損益分岐点を引き下げておくことが重要だ。そして、常に新しい需要の創出に取り組む姿勢が欠かせない。

 トイザらスは、変化に乗り遅れ、経営手法の転換がままならない状況に陥ってしまった。この教訓を他山の石とすべきだろう。

真壁昭夫さんのプロフィール