一方のeスカイは、もちろんBYDのラッコを迎え撃つ意味もあるが、スズキにとって今後の海外市場、とりわけ欧州での戦略モデルの意味も大きい。
欧州連合(EU)は、EVの普及を促すために日本の軽自動車を参考に新たな車両分類を導入することを決定している。これまで日本市場に限定されていた軽自動車がグローバルに活躍する可能性が高く、スズキのeスカイが先鞭を付けることが期待されているのだ。
「技術は共通に、商品は地域最適に」を合言葉に、スズキは開発と生産が一体となって新車開発期間を半分にし、開発効率30%向上、生産効率50%向上を目標としている。
他方で、スズキといえばインドにおける生産体制の拡充も見逃せない。2030年度以降、年間400万台を目指して拡張計画を進めている。いずれ中国を凌駕する自動車大国になることが予想されるインド。スズキは次世代に向けて、インドを基盤としてアフリカなどへも生産拠点を広げる、つまり「第二のインド探し」のビジョンもあるだろう。
スズキといえば、カリスマ経営者の故・鈴木修氏のイメージから、この10年で鈴木俊宏体制へ着実に移行している。「修流ワンマン経営」から「俊宏流チームスズキ」へシフトした査証としても、eスカイの成功が試されている。
「2030年に向けてスズキは、変化のスピードに負けない会社になるための戦いを続ける」と俊宏社長は意気込む。
軽EVという新たなクルマ、新興地域をも睨んだ生産体制の拡大――。スズキは浜松の中小企業を脱し、グローバルメーカーとして、俊宏体制10年目においてさらなる飛躍を遂げられるだろうか。








