JALは2000年代、整備不良や人為的ミスなどが相次いだ。「JALの安全神話は崩壊」などと報じられ、深刻な客離れを起こした。さらに、イラク戦争による原油高やリーマンショックなど世界情勢の急変が追い打ちをかけた。そうして2010年、グループ負債総額2兆3200億円強という事業会社として戦後最大規模の倒産に至ったのである。

JALで相次ぐ飲酒トラブル…稲盛和夫が退任時に残した「忠告」がドンピシャすぎたPhoto:JIJI

JAL再建成功→退任時に
将来を懸念した「稲盛氏の言葉」

 破綻したJALは、京セラやKDDIを設立した稲盛和夫氏をトップに招聘し、経営再建に取り組むことになる。稲盛氏が考案した「アメーバ経営」(組織を小集団に分けて独立採算制で行う全員参加型の経営管理)や、新たに「JALフィロソフィ」を導入。事業内容、組織体系、コスト構造のリストラクチャリングを断行し、2012年には再上場を果たしたことは広く知られている。

 しかしながら稲盛氏は2013年の会長退任時、あまりにも短期間で再建に成功したJALに対して、以下のような言葉を残している。

《JALの場合、急に良くなったから、不安はある。社員がおごれば昔のJALにもどるかもしれない。しかし、いつまでも私がいるわけにもいかない。どこかで切りをつけないとおかしなことになる。》※2

 創業時から長年かけて自らの経営哲学を叩き込んだ京セラやKDDIとは違い、わずか3年で退任したJALには、まだ不安が残ることを自覚しての発言といえるだろう。

 その後、生え抜きでパイロット出身の植木義晴氏が社長に就任すると、植木氏同様に稲盛氏から直接薫陶を受けた世代が役員・幹部となり、稲盛氏の思想を受け継いで経営を担うことになった。