だが、本当は何も決まっていない。次に同じ仕事が来たとき、どこで立ち止まるのか。何を開くのか。何と何を比べるのか。そこまで決めなければ、昨日と同じ仕事のやり方に戻る。そして、またミスが起きる。
上司は「前にも言っただろう」と怒る。本人は前より強く自分を責める。「今度こそ絶対に気をつけます」と誓う。注意も強くなる。決意も強くなる。それでも手順が同じなら、同じミスを繰り返す可能性は残る。
「次はどうする?」ーーこれでいい。答えが「気をつけます」なら、もう1つ聞く。
「何をする?」「送る前に確認します」ーーまだ足りない。
「何と照合する?」「最新の価格表です」ーーここまで来れば、明日の仕事でやることが見える。
上司にとっても、この方が分かりやすい。部下がどれほど悔やんでいるかは外から測れない。だが、価格表を開いたか、照合したか、手順を変えたかは見れば分かる。素直に謝る人は好感を持たれやすい。それでも、仕事で見るべきなのは態度ではない。ミスのあとに何を変えたかだ。
深く反省するより
次の仕事で何を変えたか
豊田氏の発言に戻ろう。豊田氏は、一部の人が同じ返事を長く続けていることに触れ、こう言った。
「だけど、全然変わっていない」
豊田氏のこの言葉が突いているのは、まさにそこだ。大切なのは、どれだけ深く反省したかではない。次の仕事で、何を変えたかだ。
「気をつけます」「反省します」と口にするだけでは、明日の仕事は変わらない。送信前に何を確認するのか。どの資料と照合するのか。どこで立ち止まるのか。そこまで決めて初めて、反省は次の行動に残る。
ミスをしたとき、本当に問われるのは言葉の立派さではない。反省は、口にした瞬間ではなく、次の仕事が変わったときに初めて意味を持つ。仕事ができる人と、同じ指摘を繰り返し受ける人を分けるのは、反省の深さではなく、その後に何を変えたかだ。豊田氏の「反省」というNGワードは、そのことを端的に示している。








