それだけではない。石油資本の拠点として知られてきたテキサス州は、近年、テスラやオラクル、ヒューレット・パッカード、それにサムソン電子など、アメリカ国内外のハイテク企業が本社機能を移し、次世代産業が集積する州へと様変わりしている。
トランプ氏が残り2年の任期で、AI(本人はSIと呼んでいるが)や半導体で中国に勝ち、世界をリードしようとするなら、テキサス州選出の上院議員は2人とも共和党という形が望ましい。
だからこそ、トランプ氏は、9月9日、中間選挙では異例となる共和党大会をテキサス州ダラスで開き、自分に忠誠を尽くすパクストン候補の応援に2度も現地入りしたのだ。
手負いのトランプはもっと怖い
こうした情勢をつぶさに分析すると、前述したように、予算案などの先議権を持ち大統領の弾劾訴追ができる下院は共和党の負け、条約や人事案の承認ができる上院は共和党のやや負けか、せいぜい現状維持という結果が見えてきそうだ。
上下両院とも「ブルー」になれば、トランプ氏は「トリプルレッド」だった頃のように好き放題はできず、レームダック化するとの見方もある。
では、共和党が中間選挙で敗北した場合、どのような事態が起こりうるのか。現時点では、大きく2つのケースが想定される。
(1)上下両院とも民主党が過半数奪還
税・歳出法案を通すには、上下両院の過半数の賛成が必要となるため、追加減税や、1人5000ドルの支給もなくなる。上院では高関税政策の取り消しを求める動きが出て、AI規制も進むが、好き放題しようとするトランプ氏との対立が深刻化する。
(2)下院だけ民主党が過半数
やはり、追加減税や1人5000ドルの支給はなくなるが、高関税政策や閣僚人事などはトランプ氏の意向が反映される。下院で民主党が出した物価高対策などに関する法案は上院で否決される。どのみちトランプ氏は、残り2年、好き放題やりたがる。
中間選挙で予想される2つのケースを例に述べたが、選挙での敗北を受けてもトランプ氏がおとなしくなることはなく、政策の遂行に制約が出れば出るほど突っ走る可能性がある点が、アメリカ国民はもとより日本などにとってもリスクである。







