これらは明文化されていないことも多いが、集団に属する個人に強い影響力を持つ。そのため、個人の行動が、集団規範から逸脱するとみなされると、排斥やペナルティの対象となってしまうのである。
たとえ、働く個人の学習が、正規の労働時間ではない、余暇などの個人の持ち時間を使ったもので、かつ、組織にとって有益なものであったとしよう。それでも、職場に「少しでも暇があるなら仕事をすべき」、「仕事に関係ないことはするな」という強い規範が存在すれば、学習者は集団規範の逸脱者と扱われる恐れがある。
「出る杭」は仲間との
協力関係があってこそ
本来、同じ職場で働く個人が成果をあげたり、新たな学習成果を獲得したりしたら、それを積極的に共有し、組織として活用することが期待される。しかし現実には、集団規範を逸脱したという理由で、足を引っ張ったり、非難したり、成果を無視することがある。
こうした行動は個人の学習意欲を損なうだけでなく、組織に何の利益も生まないという点で、極めて不合理である。
ただし、完全に不合理とは言い切れない側面もある。というのも、スター人材は「個人の能力だけで突然生まれる」わけではなく、多くの場合、職場の仲間の支援や協働によって育まれるからである。
プロフェッショナル組織を対象にしたグロイスバーグ=リー(※注2)の研究は、他社で高い成果をあげたスター人材を単独で引き抜いても、新たな職場では以前のような成果を出せず、低業績に苦しむことが多いことを示した。
図表3-4は、所属企業を変えなかったスター人材と、「活用(業務の効率化)」を目的に引き抜かれたスター人材、「探索(創造的な成果の創出)」を目的に引き抜かれたスター人材を比較したものである。
同書より転載 拡大画像表示
※注2 Groysberg, B., & Lee, L.-E.(2009). “Hiring stars and their colleagues : Exploration and exploitation in professional service firms,” Organization Science, 20(4), 740―758.







