部下を厳しく指導する上司写真はイメージです Photo:PIXTA

部下を厳しく指導すればハラスメントと言われかねず、かといって何も言わなければ、成果を上げることも部下を育てることも難しい。そんな板挟みに悩む管理職が増えている。働く人の相談データからは、部下を追い詰める「クラッシャー上司」や、上司が指導をためらう「ハラスメント恐怖症」といった、令和の職場ならではの問題が浮かび上がった。なぜ上司も部下も苦しむ職場が生まれるのか。※本稿は、Smart相談室代表取締役・CEOの藤田康男『悩みの統計学』(扶桑社)の一部を抜粋・編集したものです。

部下を追い詰める上司は
なぜ生まれてしまうのか

「クラッシャー上司」とは、部下の意欲や自信を削り取り、結果として組織全体の生産性まで低下させてしまう上司のことです。部下の意見を理詰めで論破する、常に高い目標を掲げる、自分と同じ水準を要求する。その結果、優秀な社員ほど疲れ果てて辞めていき、職場全体の雰囲気まで悪くなってしまう。ただし、その上司自体は優秀で、直接的なハラスメントを行うわけではなかったりもします。

 カウンセラーアンケート(編集部注/相談実績は累計5万件を超えるSmart相談室が、相談終了後に相談者とカウンセラーを対象に実施したアンケート)によると、相談者の23.2%がクラッシャー上司に悩んでいるという回答がありました。

 クラッシャー上司は、生まれつき「人を傷つけたい」と思っている人ばかりではありません。むしろ、多くの場合は、組織の仕組みや本人が置かれた環境の中で生まれていきます。たとえば、成果だけを強く求められる職場では、「結果さえ出せばよい」という価値観が育ちやすくなります。上司自身も厳しいノルマやプレッシャーにさらされ、部下を育てる余裕を失ってしまいます。